海峡を渡る
バイオリン
陳昌鉉 氏

「海峡を渡るバイオリン」実在のモデルとなったバイオリン製作者
77歳になって、何十年も前の自分の家を見たらじんときました。子どもの時の、4つの時の記憶が鮮明によみがえります。感無量です。明日死んでもいい、と思いました。
細かいところまで、韓国に足を運んで風土を見て、丁寧に時代考証をして、材料を集めて……とただただ頭が下がる思いです。

独学ですから、溺れるものわらをもつかむ、という感じで、自分がバイオリン作りに向いていると思ったため、もう途中下車はできない。最後の終着駅まで行く、という感じですね。
あの当時は若く、甘かった。台風の後もまたやり直すんだ、という気持ちで、誰も批判する気はなかった。またやり直すんだ、という気持ちで、よくあの時は耐えられた。当時の年齢では、バイタリティが、情熱があった。当時の私には悲壮感がなかったらしく、自分の運命を素直に受け止めて好きなものに熱中する、そういう淡々とした生活を送っていた。

今でも夢に見ます。台風のあと屋根が飛んでいた時のことを。

0.サイトTOP

(C)フジテレビジョン