「世界の王貞治868本の秘密」
徳光和夫
気心の知れた相手だからこそ、本当の事を話してくれることもあるもの。徳光和夫さんは、あの王さんから世界記録である「ホームラン868本」について、こんな話を聞いていたそうです。「王さんの868本ってスゴイ記録だと思うじゃないですか。世界第2位のハンク・アーロンだって755本ですから。でも、王さん自身はどう思っているのかなって、引退した後に伺ったことがあるんです。そしたら王さんは『よく聞いてくれた。世間は868本も、と思っているかもしれないけど、自分は868本しか打てなかったという感覚なんだ』と言うんです。なぜかというと、(王さんは)20歳くらいからホームランを打ち始めるんですけども、自分が打ったホームランで勝ったりすると、当然、翌日の新聞が(自分の活躍で一面が飾られているので)楽しみじゃないですか。それで、翌日スポーツ新聞を買ってみるんです。自分のホームランで勝ったことが一面に出てるんだけど、同じくらいのスペースを割いて長嶋さんの同点二塁打が出てるんですよ。そういうことが常にあったそうなんです。それで『華やかさでは、この人に勝てない』。そう20歳の王さんは思う訳ですよ。そこで、長嶋さんに勝るものは何かと言ったら、王さんは飛距離だと考えた訳です。そこからホームランを狙い始めたんですよ。そこから20年間、ホームランだけを狙ってバットを振った回数は2万回くらいあるんですけど、そのうち868本しか打てなかった、本当は1000本打ってしかるべきだったと、王さんは言うんです。王さんはそういう人なんです。自分に厳しいというか、謙虚なんです」
徳光和夫プロフィール

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