ジャンクSPORTS
-ファンタスティックストーリー-
11月13日
ジェロム・レ・バンナ
○愛すべき者へ
「オレ様の試合は1試合目から熱いぞ。必ず興奮させてやる」
今週、土曜日11月9日。6日後に迫ったK-1GP決勝戦。
世界最強の称号を求めて8人の男たちが東京ドームで激突する。
「たとえリングで死んでも、それが人生だ」
K-1の番長ことジェロム・レ・バンナ。
強き事こそ正義。相手を完膚なきまでに破壊した時こそ、リング上でこの男の真価は発揮される。
だが、これまでのバンナにとってK-1GPの舞台はまさに鬼門だった。
2002年、決勝戦に進出するも左腕を粉砕骨折。
そして、昨年はGP開幕戦の3週間前に愛する母親が他界。
「母親の死で闘う気持ちが弱まった」
さらに今年、夫人と別居しバンナの人生はドン底に落ちた。
しかし、そんな絶望の淵にいたバンナを救ったのは、一人娘・ヴィクトリアが見せる笑顔だった。
「母親が死んだことは大きい。母親の存在がどんなに大きかったことか…だから、娘に対しても責任感が強くなったんだ」
父親としての責任感。
それは、ファイターとして生きるバンナにとって娘と勝利を共に分かち合うことに他ならない。
「パパはいつもお前が心配だ。だから、コッソリとたまに学校に様子を見に行くんだよ」
娘への想いが常に孤独を背負い、リングに立ち続けた男を甦らせた。
そして、迎えるK-1GP決勝戦。
「徹底的に殴り合う。リング上で死んでも構わない」
K-1参戦から10年、王者の夢は常にあと一歩のところで打ち砕かれてきた。
今年こそ、悲願のGP初制覇を狙うバンナ。
来るべき一戦に向け、肉体を極限にまで追い込む。
「お前がパパにパワーを与えてくれるんだよ」
6年前、天から授かった一人娘のヴィクトリア。
今年からバンナの試合用のパンツには、愛すべき娘の名がしっかりと刻まれている。
「リングに上がる前に娘の名前を触るようにしている。いつ死ぬかもしれない。死ぬ前に思い浮かべるのは娘・ヴィクトリアでいたい」
これまでGPの舞台で決して微笑むことのなかった勝利の女神。
しかし、今年王者の栄光を掴んだ時、ヴィクトリアこそが勝利の女神となってバンナに微笑む。
0.もどる
(C)フジテレビジョン