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ジャンクNY通信
それくらい、横綱の相撲は面白かった。
群を抜いて、面白かった。
気持ちで相撲を取っているのが、伝わって来た。
"土俵の鬼"とは彼にこそ相応しい称号、とすら思っていた。
来場所から、もうあんな取り組みを見せる横綱が居ないと思うと寂しくてなりません。
一時は不仲を噂されたライバル横綱の白鵬関までが会見で涙を流し、各界の一流アスリートが引退を惜しむコメントを寄せるのには理由があります。
記者会見での最後の拍手の意味は
「今まで面白い相撲をたくさんみせてくれてありがとう」
という相撲記者の感情の自然な発露だったと推測します。
不謹慎だと咎めるのは簡単ですが、僕は素直に嬉しく思いました。
"コンプライアンス不況"という言葉まで生まれた昨今の日本社会。
誤解を恐れずに言えば、ヒールがヒールとして輝く住処がどこかにあり、誰かがすっと道標を示してあげられる世界こそ成熟した組織や社会と言えるのではないでしょうか。
"排除の論理"だけでは本質的なところは何も解決しません。
外国籍であるというだけで、例えどんなに功績を残しても引退後は組織に残れないという不条理。
横綱の"規格外の引退劇"の背景には、そんな布石があったのかもしれません。
相撲界から排除された横綱・朝青龍が、皮肉にもその相撲の魅力をファンに伝える最高の伝道師だったという悲劇的パラドックス。
多くの人々が感覚的にこうした事実を理解している筈です。
横綱、本当にお疲れ様でした。
第二の人生でも"規格外の活躍"を期待しています。
2月5日
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