実録・小野田少尉
遅すぎた帰還
-プロデューサーより-

■中山和記プロデューサー コメント

今の若い世代にとっては戦争の記憶が風化してしまって、実感がない時代になってしまったのが気がかりで、映像クリエーターの責任として、それを若い世代へのメッセージとして受け継いでいきたい、戦争が提起するかつての問題もそれぞれに感じてほしいというところからスタートしました。
密命をおびて30年間もたった一人でジャングルで生き延びた小野田寛郎さんという人は、一体どういう人物なのかと興味をもったことで、ずっとドラマ化したいと考えていました。時の人が過去の人を演じることで、若い人に伝えたいことがもっと伝わるのではないかと考え、感覚として今の空気感を持っている俳優で、正統派ではなく、野人的な要素もあり、若者でありながら、体制に対してちょっと斜に構えたかっこよさがある人にやっていただけないかという願望から、映画『ピンポン』を見て中村獅童さんにお願いすることになりました。
中村獅童さんご本人の生き方、空気感といったものが、若い人にも、この人がこの役をやるなら見ようと思っていただけるきっかけとなるのではないでしょうか。

この作品で描きたいのは、戦争の悲しさと切なさですが、それには2つの側面があって、ひとつは犠牲的な死が、いかに虚しく悲しいものかということ。もうひとつは、そのためにロスする時間、自分の時間・時代・青春を"無"にしてしまうということ。戦友の死、30年を"無"にした一人の人間の痛みをこのドラマであぶりだしたいです。
また、強き戦士、侍である小野田少尉の"剛"と、帰国1年前に戦死する小塚一等兵の人間的弱さ、寂しさの"柔"の対比により、二人を通して人間ドラマとして組み立てたいと思っています。

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