[東京は熱帯?]
都市の熱帯化が進んでいます。
1日の最低気温が25度を下回らない日を「熱帯夜」と呼んでいますが、東京などの都市部では熱帯夜の日数が増えています。
例えば東京では、1970年台の熱帯夜の日数は、年平均14日でしたが、最近では27日と、この20〜30年の間に倍に増えているのです。特に東京オリンピック(昭和39年)を境に高度経済成長期とともに著しく増加しています。
そう言えば、私の子供の頃(30年近く前)は、クーラーのある家は裕福な家庭で、私の家にはクーラーはありませんでした。無くても我慢出来る程度の暑さでしたが、最近の夜中の寝苦しさは耐えられません。

何が原因なのでしょうか?
熱帯夜の日数が極端に増加しているのは、東京などの都市部だけですので、「地球温暖化」というグローバルな話ではありません。コンクリートジャングルに変貌した都市によって気候変動がもたらされているのです。
都会は、ビルの林立によって風が流れにくくなっています。アスファルトやコンクリートは、太陽光を照り返し、夜は日中に蓄積した熱を放出します。自動車も熱を放出します。最近は、夜も自動車が減りません。エアコンの室外機からも大量の熱が出されます。最近、夜エアコンを使用するようになって、熱帯夜の増加に拍車をかけるという悪循環になっています。
一方、郊外では、土や木々が空気を冷やしています。土や木からは、大量の水が蒸発しているのですが、このとき周辺の空気から熱を奪い取るのです。
これら都市型気候は、先進国の中でも都市部だけの問題で、地球温暖化に比べれば悪影響が見えにくいため、それほど問題になっていませんが、20年後、30年後の東京は気候が変わっているかもしれないのです。
郊外から都心に通勤している人なら肌で感じていると思いますが、東京から50キロぐらい離れると、熱帯夜の日数は都心の10分の1というくらい郊外の夜は涼しいものなのです。
都市型気候をここでくい止めるため、エアコンの冷やし過ぎに注意しましょう。
(三井良浩)

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