[今年の梅雨明けは?]
関東地方の梅雨明けは、平年ですと7月20日ですが、今年は7月30日現在、まだ梅雨明けしていません。先日、気象台長を経験したことある方とお酒を交わす機会があり、その方は「梅雨明けは、6月の末だったんですよ。」と言われました。確かに6月末から7月上旬にかけて、暑くなりました。7月4日には、東京でも36度を超え、天気図でも太平洋高気圧が梅雨明け同然にまで強まりました。7月中旬になって気温が低くなり、梅雨空に逆戻りしてしまいましたが、6月末が梅雨明けとすると、7月中旬からの天気は、「戻り梅雨」ということになります。
テレビ視聴者の方々からも7月末になって、「もう梅雨明けじゃないの?」という問い合わせが多くなっています。確かに梅雨明けを思わせるような青空も広がりました。ただ、気象庁の予報官もここのところ相当悩んで困っていましたので、梅雨明けについてあまり責められません。
「梅雨入り、梅雨明け」というのは、気象学的には、1日で割り切れる程ハッキリしているものではないのです。春、夏、秋、冬と同じ季節ですから、急に梅雨に入って、急に明けるわけではありません。本来1週間程度の遷移期間があります。ただ他の季節と違って、ドラスティックに変わることも多いため、梅雨入り、梅雨明けを明確にする風習になってしまったようです。
元々、農作業の目安にしていたのが、最近では、プールやビアガーデン、クーラーの売り上げといった夏物商戦に梅雨明け宣言が購買意欲をかき立てる面もあり、経済効果的に梅雨明け宣言が注目されるようになってしまいました。気象庁も元々サービスで梅雨入り、梅雨明けを発表していたのですが、いつの間にか慣例になり、今では気象庁が決めるものとさされ、梅雨明けが遅れると気象庁のセイとばかりにされてしまう様です。
今年の梅雨明けは、1週間先の気圧配置を予想する地球規模のコンピューター予想が、いつも梅雨明けを決断しにくい予想を出していたのに翻弄させられました。今年の梅雨明けの難しさは、気象庁にとって災難だったと私は思います。
(三井良浩)

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