優しい時間
-#6 聖夜-

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そのころ勇吉は、工房の前に置いてある彩文の陶器オブジェが気になり車外へ出ていた。と、梓の「タクちゃん!!」という必死の呼び声が聞こえた。そっと中を覗くと、立ちすくむ梓の背中越しに、裏へ走って行く若い男の姿が目に飛び込んできた。勇吉は梓に知られぬよう、そっと車に戻り、蒼い顔をした梓が戻るのを待った。「忙しくって今晩は会えないって」と誤魔化し言い訳する梓。車は「森の時計」に走り出した。

一人になった勇吉は、めぐみに「あれは拓郎だろうか……」と尋ねるしかなかった。

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