『わが家の歴史』
[プロデューサー ここだけの話]

vol.01 企画から脚本〜4つの企画と壁の8ヶ月〜
三谷さんにフジテレビ開局50周年記念ドラマを書いてもらうと当時の上司の大多亮が決定し、その後私が企画をいただきました。2006年の年末のことです。「昭和の家族の話」というこの企画以外には、原作もの、戦国時代の時代劇、演出面での企画性の強いもの、全部で4つの企画がありました。実は、個人的に一番気乗りしなかったのが「昭和の家族の話」(笑)。自分が学生の頃から逃げてきた歴史の勉強をしないといけない、ある程度の歴史観をもてるくらいに。しかも、歴史といっても昭和ですから、人物、事件、事故の関係者の方はご存命でご記憶も確かなわけで、そちらの許諾や時代考証、あるいはまだ歴史的解釈がなされていない事実もあって、それをどう扱うのか、膨大な課題が頭をよぎってかなり憂鬱でした。
三谷さんにプロットは上げてもらってはいましたが、原稿に関しては、初稿をいただけたのが、去年の4月終わり。約束から8ヵ月がたっていました。その間はずっと三谷さんに原稿催促の日々…借金の取り立て屋になった気分でした。それは、作家とプロデューサーの戦いでもあるのですが、ひたすら待つという、自分の中での戦いでもあって…白い壁に向かってただ座っているような8ヵ月で(笑)。つらかった。でも、今、現場で「いい本だから頑張る」と言ってくれるキャストやスタッフが百人以上いて、しかも本当にすごい方々なわけで。あの8ヵ月は無駄じゃなかったと思える自分は本当にシアワセだなーと思います。
ところで、三谷さんは基本お酒は飲めないのですが、以前にお酒を飲ませたらどうなるんだろうとみんなで少しお酒を飲ませたことがあります。すると、酔った三谷さんは、堰を切ったように歴史の話を始めて、何時間も止まらなくなって…あり余る歴史への愛(?)が、正直ちょっと痛かったです(笑)。今回は、そういった意味でも三谷さんにしか書けなかった作品です、間違いなく。

(プロデューサー・重岡由美子)

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