『わが家の歴史』
[インタビュー]
西田敏行

親孝行な子供たちを持った時次郎は幸せだと思います
時次郎は、昔よくいたような、一緒にいるときは「うるさいな」とか思うんだけど、別れてみるとなんだか妙に会いたくなる、そんな感じのオヤジです(笑)。しかし、八女家の家族は、大変な父親を持ってしまいましたよねぇ。時次郎の行動によって家族がどれだけ翻弄されたか…。三谷さんは時次郎のことを、「なんとなくそばで顔を見てると憎めなくて、もういいやっていう気持ちになるようにしておきました」なんておっしゃっていましたけれど、家族は被害者ですよね(笑)。それでもこんなダメ親父をみんな支えてくれて、立てるところではちゃんと立ててくれていますから、ありがたい。時次郎は親孝行な子供たちを持って幸せだと思いますよ。
ドラマの時代背景は自分の成長期と同じくらいなのですごくなじみますが、昭和の前半というと、やっぱり太平洋戦争が大きいですよね。16年から20年という4年間の出来事ではあるけれど、日本は崩壊寸前まで追いやられて、そこから立ち直ってきたわけですよね。そこにいたのが、時次郎のようなバイタリティーを持ったオヤジたちです。まさに時次郎の団体ですよ(笑)。まあ、時次郎はちょっと山師的な方向に行っちゃいましたけれど、彼らの持ってるエネルギーが、日本の高度成長を支えて、今のような社会を築いてきたわけですから、たいしたもんだなと思いますよね。
そういう意味では、このドラマは、我々団塊の世代から、その上の先輩たちはもちろん、若い人たちにも、歴史上の人物や偉い人ではなくて、じいちゃんとか父ちゃんとか、そういう身近な存在の人たちが、昭和をどうやって生きてきたのかというのを見ていただけると思います。その上で、今の平成に私たちがいるんだな、という思いに至ってくれたら、この「わが家の歴史」というタイトルに込められた本当の意味が伝わるんだろうなと思いますね。

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