『わが家の歴史』
[インタビュー]
玉山鉄二

勢いがあって力強い昭和を僕も生きてみたかった
僕は六人家族で姉が3人いたので、小さい頃の食卓はいつもにぎやかでしたね。よく両親が動物園や遊園地に連れて行ってくれていましたが、父親の仕事がカメラマンだったので8ミリではない仕事用の大きいビデオカメラを持ってきて僕らを撮影するので、恥ずかしくて下ばかり向いていました(笑)。八女家のだんらんのシーンを見ると、そんなことを思い出してなつかしい気分になったりしていましたし、僕が演じる竜伍にはそういうシーンがないので、楽しそうな八女家を羨ましく見ていたんですよ。
竜伍は、戦争で運命を変えられてしまった、かわいそうな男です。すごく純粋なんだけど、それゆえに、自分の思想や現状に不安を感じて、つきつめてしまっている。彼なりにまっとうに生きているのに、時代に翻弄されてしまった…。戦争がなければ、きっと政子(柴咲コウ) と結婚して幸せな家庭を築いていたでしょうね。演じながらも、かわいそうだな、痛いな、と思っていましたが、戦後の日本には、捕虜にされて、共産主義の思想に洗脳されてしまった、竜伍みたいな人たちが実際にたくさんいたそうです。だから、きちんと責任を持って、大切に演じなければいけないなと思いましたね。
このドラマで描かれている昭和って、高度経済成長だったり学生運動があったりと、すごく勢いがあるし、力強い時代ですよね。過去のニュース映像などでしか知り得ませんが、できれば僕はあの時代に生きて、自分の目で見て経験したかったと強く思うんです。今の時代って抑揚がないというか、だんだんクールになってきてる気がするんですよね。あの時代があったから、今の僕たちが生きている環境があるということや、一方で、戦争は後世にまでいろんなものを残してしまっていること―。三谷さん独特のファンタジックな世界観で描かれた昭和に浸りながら、そんなことを感じていただけたらうれしいですね。

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