『わが家の歴史』
[インタビュー]
富司純子

昭和に生まれてよかった、と思うのです
わたくしは戦後すぐ生まれで、物心ついた3、4歳まで和歌山の疎開先で育ちました。本当に食事なんて豊かでないし、芋粥とか、コッペパンを、わたくしは三人兄弟─八女家は5人ですけれども─で三つに分けてとか、お豆を炒ってもらったのを食べたりといった時代でした。家族はいつも、分け合っていました。「わが家の歴史」はそうした家族と食とを大事にする─ひとつのものを分かち合って生きていくという時代のお話です。
ご本をいただいてすぐ、三夜分一気に読ませていただきました。映画も舞台も拝見して三谷さんの作品にすごく惹かれていました。三谷さんの本はすばらしい、天才です。こんな方、今までいらっしゃらなかった。この方の頭の中、どうなってるのかな?って。この作品に誘っていただいた幸せを毎日感じて、感謝しています。
23歳ではじまり59歳で終わる、結婚して子育てしておばあちゃんになって─までを演じているのですが、メイクさん、衣裳さんがその年齢に合わせたものを用意してくださるから、それに気分をのせて、とても自然に役に入り演じさせていただいてます。
エノケンさんであったり、力道山さんであったり、そうした時代とともにわたくし自身生きてきているので、本当に違和感がないんです。お風呂屋さんの外でみんなでひとつのテレビの前に集まって観る…あの時代の良さが全部このドラマに入っています。芝居させていただきながら当時を思い出してすごく楽しい。昭和に生まれてよかった、と思うのです。

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