ヴォイス
第7話
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そして、解剖の準備が始まる。作業着に着替えた彰を見た玲子は、意地になるのはやめろ、と言うが、彰は遺族のために力になりたいからやらせてほしいと頭を下げる。

解剖を終えると、大己と佳奈子は佐川に呼ばれ、解剖の結果を野間口に伝えに行って欲しいと言われる。それが、野間口自身の希望だと聞き、早速、野間口宅へ。

まずは、佳奈子が静代の死因を、転倒による脾臓破裂に伴う出血性ショック死であると伝える。それにうなずく野間口に、大己は、やはり隠していたことがあった、と切り出す。死因のほかに解剖の結果分かったのは――静代が末期の胃がんであったということだった。血液から抗がん剤の成分が検出されたことから、本人は病状を知っていたはずだ、と大己。自らの命が2ヵ月足らずだと知り、苦手だった犬を飼い、扱いが簡易な洗濯機に買い替え、肉豆腐を繰り返し作り、家にいると余計な心配をかけるからと辛い体をおしてダンス教室に通い、とすべて夫である野間口を思い行動していたのだろう、と話す。さらに、静代が購入した目覚まし時計を操作すると、そこから、録音された静代の声が聞こえてくる。40年間、夫を起こし続けた静代は、自分がいなくなった後、野間口がひとりで起床できるかが心配で、ボイスレコーダーの付きの目覚まし時計を購入していたのだ。静代は、ボケていたわけでも物忘れが激しかったわけでもなかったのだ。横たわる静代の布団に顔を伏せた野間口は、肩を震わせる。それを見た大己、佳奈子の目からも涙がこぼれ――。

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