ヴォイス
第2話
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後日、佐川は大己に、一度意識が戻ったとはいえ感電した佐野が卵を買いに行くのは、相当に困難な行為だったろうと話す。さらに、技官・蕪木誠(泉谷しげる)の協力で、佐野の指の爪に残っていた成分が牛乳だったことがわかる。手には卵、爪には牛乳――佐野は何かを作ろうとしていたのか?意識を集中し佐野に思いを巡らせた大己は、何かに思い当たると研究室を飛び出して行く。

後を追ってきた亮介、佳奈子とともに大己がやってきたのは、忍のマンションだった。リビングに通されると大己は、ビデオデッキの中から『クレイマー、クレイマー』のテープを取り出し、佐野は忍と別れようとは思っていなかったと告げる。大己曰く、佐野は忍との結婚生活を思い返すうち、ふたりの思い出の映画である『クレイマー、クレイマー』を見ようとした。ところが、ビデオデッキのコンセントを差し込んだ際、漏電していた古いコンセントで感電してしまう。普通はそこで倒れ込むはずだが、アメフト選手だった佐野は一度意識を取り戻すと、キッチンへやってくる。フレンチトーストを作るためだ。しかし、指輪を外し手を洗い料理を始めたとき、卵がないことに気づく。それで、ふらふらになりながらも買いに出かけたのだ。料理をしない佐野がなぜ、フレンチトーストを作ろうとしたのか?それは、『クレイマー、クレイマー』の主人公が家族のために必死に作る料理で、そのシーンが好きな忍がいつか自分にも作ってほしいと言っていたからだ。

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