素直になれなくて
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Part 3『ドクターのアパート』& more
ドクター(ジェジュン)と妹のミンハ(木南晴夏)が暮らすアパート。決してキレイなアパートではありませんが、慎ましい生活を送っている仲の良い兄妹のシーンに、「ホッとする」という方も多いようです。話題になった例のドラ○もん部屋?の秘密も…。
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まずはドクターのアパートのコンセプトからお願いします。まるで昭和の時代のような雰囲気ですが…。

鈴木:
本当にタイムスリップしたような世界というか…。年配の方に聞けば「神田川だね」といわれるような世界かもしれませんけど、実はこれ、セットで作った内装よりももっと凄い内装の物件が存在するんです。ドクターは、韓国から日本にやってきて、妹もいる。それでも暮らしていかなくてはいけない。会社では若干パワハラめいたことを受けているけど、心がピュアなままどこまで突き通せるか、ということを体現しているキャラクターなんですね。過酷であれば過酷であるほど彼のキャラクターは引き立つというのもあり、周りのキャラクターと比べてみたときにバランスが必要だったんです。で、並べてみたらこれくらいにする必要があったんです。室内は、四畳半に板の間がついて隠し部屋があるという感じ。土足のままこれる中廊下があって…。妹は学生ですし、ほぼドクターが養っている状態ですよね。で、親から仕送りがあって実は裕福、ということではないので、"仕送られてる感"というのは排除しています。リサイクルショップで集められたようなインテリアに対して、100円ショップで手に入るような表層的なテープとかボンボンとかで妹が必死に可愛く見せようとしている、という部屋ですね。ちっちゃくてさらに貧乏感、せせこましさを出すために、事務所などで使われるようなプラスチックタイルの床だったり、畳にしても坊主畳、琉球畳と呼ばれるようなヘリのないようなタイプのものを使っていたりします。玄関もものすごく狭いですし…。

例のドクターのあの部屋は?

鈴木:
妹も年頃なワケですね。ドクターとしては、着替えなんかを見ちゃいけないというそういう気持ちが凄くある。だから、小上がりをカーテンで仕切って…。押入れの手前の1畳がドクターの部屋です。彼は押入れを棚として使って1畳で寝起きしているんです。監督のはじめのオーダーは「押入れの中で」って(笑)。でも、もう少しランクを上げてあげようとこの1畳をつけました。普段は一緒に過ごしていて、就寝の時間になるとこっそりこの空間に潜める。で、妹がお風呂に入ったりして、寝る時間になるとカーテンを閉めて「おやすみ」っていうような…そんなイメージです。実は今回、ちょっとした仕掛けとして、各キッチンのコンロの周りとベッドの周りの印象をそれぞれ違うように仕向けたんですね。ナカジの家、ハルの家、ドクターのアパートとセットを作った中で、みんな地面からちょっと上がった同じ高さで寝るんですけど、ハルはベッドの上、ナカジはコンクリートの上にマットレス、ドクターは小上がりの板の間の上に布団。寝てる高さや姿勢は一緒になるんですけど、寝てる素材が全然違う。キッチンもハルの家は普通のキッチンセット、ナカジは中華厨房、ドクターは一口コンロ。そういう特徴と印象をつけています。食べるとか寝るって生活習慣の要ですから。

そのギャップが面白いですね。

鈴木:
等身大の若者を描いているということもあるんですけど、人前でちょっと気取っちゃうんですね、彼らは。「ステキでいたい」とか「オシャレでいたい」とか。汚いところを見せたくない。かっこよくしている状態でみんな会うんですね。でも、家に帰ると実情はこうだよ、と。みんなそれぞれ悩みを抱えていて、こんなバックボーンがあって、みんなこうなりたいけど、そうなれない背景がある、という部分を表現しています。ハルでいえば、独立しているべきなのにまだ実家にいる。ナカジは、もっとかっこいい北から灯かりがしっかり入るようなアトリエであるべきなのに工場の上にいる。で、ドクターは、これでいいわけがない(笑)。そんな状態なんです。リンダに関しては家が描かれてないので、その分オフィスで表現しています。スタイリッシュで洗練されていて。シャープで仕事ができるようなオフィス。その中でセクハラを受けていて、やりたい仕事がしっかりとやれていないという状態ですが…。
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※PCサイトでは『ドクターのアパート』『ハルの家』のセットを作る上で使用した、デザイン画、青図をご覧になれます。

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