はだしのゲン
- はじめに -

■戦争物語の名作「はだしのゲン」初のドラマ化
この作品は、漫画家、中沢啓治氏(68)が自身の被爆体験をもとに戦争への怒りと悲しみ、そして命の大切さを、広島のある一家族の物語として描いた自伝的物語です。1973年に「少年ジャンプ」で連載が開始され、その後、汐文社、中央公論新社、集英社ジャンプリミックスから単行本が出版されて、累計で約650万部のベストセラーになっています。そして今では英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、イタリア語、タイ語、タガログ語、エスペラント語に翻訳され全世界で読まれているのです。また今年4月にウィーンで行われた核拡散防止条約再検討会議の準備委員会では、日本政府代表団が、英語版の漫画『はだしのゲン』を配布し、アニメーション作品を上映して核軍縮を訴えたことが報道され、作品の持つ力があらためて認識されました。
この『はだしのゲン』ですが、実はテレビドラマ化は今回が初めて。戦争を舞台に"親子の愛"という普遍的なテーマを重厚につづった、まさに戦争物語の古典とも言えるこの名作を、2夜連続、計4時間の大スケールで描きます。

■エンターテイメントの旗手・君塚良一脚本
ドラマ化にあたって、漫画『はだしのゲン』に徹底して漂う
"反戦の叫び"を伝えるために、戦争の痛みを真っ向から描くことは不可欠です。そして"戦争への怒り"、"不条理な死"、そしてそれに負けない"人間の持つたくましい生命力"…。それらの、ともすれば重苦しくとらわれがちな主張を、"親子の愛"という普遍的なテーマでくくり、幅広い年令層の方々に家族そろって観ていただけるドラマとして脚本化したのが、君塚良一です。前編を、昭和の時代にどこにでも存在したごく一般的な家族の、貧しいながらも愛と笑いに満ちたホームドラマとして描いたことで、後編の過酷な運命に立ち向かうゲンたちの純粋な生命力と戦争の惨さがよりきわだつものとなっています。
戦争をひとつのスペクタクルとして描いたり、ノスタルジイや自己犠牲を賛美するかのように描いた、戦争の不条理性を曖昧にするような物語ではない、真に生命の重さを感じることができる作品です。

[次へ]

もどる
0.千の風になって TOP

(C)フジテレビジョン