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インタビュー

【vol.13】上原諒役 綾野剛さん(Special2014)
Qスペシャルが決まりました。
連続ドラマでどこかやり切ったところがありましたので、一体どんな表現になるのか想像つきませんでした。想像できるのは僕が子どもを抱いているところしかなかったです。役を通して子どもを抱いてみたい、という思いはあったんです。本格的に父になるというのは今回が初めてですから、単純にどんどん嬉しくなってきました。ただ、坂元さんの脚本ですから一筋縄ではいかないんだろうなという、喜びと恐怖が入り混じったミックスジュースのような感じ。もちろん、スペシャルが作られる、というのはひとつの評価だと思うので嬉しかったですし、濱崎家にまた会えるのも楽しみでした。

Q台本を読んでの印象は?
大変です。分かってはいたんですが。過去ワンシーンで一番長かったのが17ページです。今回は何と21ページです。いくつかカメラを使ってワンカットで撮ることもある現場ですから、半分舞台ですよね。そういう環境も与えてくれる現場ですから。それは坂元さんの本を生かすためにそのようなやり方をされているでしょうし、並木監督を中心にしたスタッフワークがとても素晴らしいので、安心してやっています。

Qすぐに諒に戻れましたか?
戻れました。すぐに上がってきました。やっぱりそれは現場力だと思うんです。すぐに役に戻してくれる現場力があり、共演者にもその力がある。それがすべてだと思います。濱崎さんに会ったらもう諒になりましたから。それは瑛太さんが濱崎光生として立っているからだし、現場も素晴らしい作品を作るんだと、という思いみたいなものが目に見えたので、何もせずにすぐに戻ってきました。「おかえり」という感じで。

Q現場では、本番以外の時間でも諒になっているような気がしますが…。
優しくはなりますよね。他のドラマで堅い役をやってますから、すごく楽しいです。だって、上原諒って何やってもいいんですよ(笑)。この人の存在の仕方がそうなので。スキップしてても諒ならありそうだなって。すごい人です。"愛される人"ってそういことだと思うんです。灯里(真木よう子)さんからすれば"許すべき人"になっちゃうかもしれないけど…。これで嫌な人だったら全然受け入れてくれないと思うので、とにかく嫌なヤツだけにはしないようにしていました。共演者や現場に助けられて上原諒という人間が生きることができたので、今回は本当に何やっても大丈夫でしたね。カラオケのシーンも、光生さんとふたりで大暴れしました(笑)。ヘッドバンギングしたり跳ねたり失神したり。それでも全然成立するので楽しかったです。

Q真木さんは「うらやましい」、尾野さんは「共感できない」とおっしゃっていました。
世間的にはいいことをしているとは思わないです。諒は。尾野さんは、世間的なことを基準にして発言をしていると思うので、それは当然だと思います。共感できないというのが本来あるべき姿じゃないですか。僕も羨ましいとは全然思わないんですよね。そういう基準じゃないかもしれない。何て言うのかな…優しくしてあげたい。そんな感じです。僕は演じていて知ってますから、諒のトラウマとかいろんなものを。はたから見たら「面白い人だな」って好奇心は持つと思います。羨ましいとは思わないけど…。

Q4人の中で一番幸せになれそうなのは誰でしょう?
願望でもいいですか?僕、連続ドラマの時は諒だったんです。この人に幸せになってほしいって。今回は諒的発言かもしれないですけど、灯里と潮見(臼田あさ美)さんに幸せになってほしいです。二人いるってところが諒っぽい(笑)。連続ドラマでは、彼の中でひとつ思いが結実したワケです。今回は、そこに初恋の人・潮見さんが現れて走りだそうとするわけで…。これ以上は言えないですね(笑)。あと、個人的には、なぜか僕、光生が笑っていると安心するんです。男友達って諒には今までいなかった。男友達を作るって感覚も多分なかったかと。だから、一緒にいて何もかも、光生の反応も全てが面白くって、楽しいに変わっていく。これが友達なんだって多分思っているんでしょうね。

Q先ほども話題になりましたが、21ページもの長いシーンについては?
ポジティブな意見としてはアクシデントが起こることがいいのではと思います。演じている最中に思いもよらぬことが起きてしまう。これは(カットを)割っていたら多分ないと思うんです。どんなアクシデントでもいいんですけど、光生が興奮しすぎて噛んじゃっても、それは本当じゃないですか。だから、フィクションの中にノンフィクションが一瞬混ざったりする。化学反応が起きるんです。「これアドリブだな」とか分かっちゃったらダメなんです。瑛太くんは間違いなく光生として噛みますし。僕たちアドリブとかほとんどやってなくて、基本は台本通りに演じています。だから「あ、濱崎さん噛んだな。動揺しているのかな?」とか諒として勝手に思ってます。全然関係ないところで笑ったりしてるのも、「何でこんなところで噛んだんだろう。恥ずかしい、濱崎さん。やっぱり面白い」って勝手に考えてるからで…。そういう感じなんです。

Q灯里、結夏のいいところは?
諒としては、結夏さんは他人なので、いいところがたくさん見つけられるわけです。自分に都合よく。でも灯里さんとは理屈で付き合ってるわけじゃないので、そんなの全部通り越しちゃってるんですよね。"この人といたい"とか、そっちになるんです。"この人といたい、この人の体温を感じたい、ずっと一緒にいたい"という感情。ただ、僕からしたら二人とも面倒くさいですけどね(笑)。全員面倒くさい(笑)。だから、いいんです。全員面倒くさいから、誰でも愛されるべきなんです。

Q諒の今後を演じてみたい思いはありますか?
あります。正直に言うと、この人のことをホントにすごく愛してるので。また演じたいなと思います。もうひとり生まれるかもしれないですし、ふたり目も三人目も全員女性とか、そんな感じになりそうじゃないですか。女性に囲まれながら…。灯里の味方がどんどん増えていくという(笑)。

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