輪廻の雨
- スタッフインタビュー -
桑村さや香さん インタビュー
主人公の孝平は私の分身みたいな存在です。『フジテレビヤングシナリオ大賞』の明るく爽やかなイメージとはかけ離れていますが(笑)、単純に今、自分が観たいと思う作品を書かせて頂きました。シナリオを書く時も、孝平の台詞は悩むことなくスラスラと頭に浮かんできました。
孝平役を山本裕典さん、修平役を瀬戸康史さんに演じて頂く、と聞いたときは豪華なキャスティングで、「ホントにこのドラマの話をしているのかな?」と思ったくらいです(笑)。撮影現場にも3回くらい伺ったのですが、山本さんは影がある中にも綺麗な目をしていて、主人公の役柄を端的に示している気がしてピッタリだなあと思いましたし、瀬戸さんも修平という難しい役の台詞を喋って下さっているのを見た時「あ、修平がいる」と素直に思えて、本当に有り難いなあ…、としみじみ感じました。そしてヤングシナリオ大賞授賞式で、3分にまとめたこの作品のVTRを観たときも「出演者のみなさんが、私の書いた台詞を喋っている!すごい!」と感動したのを覚えています。
また、撮影現場で孝平たちの父、三上洋介役の光石研さんに「台本、面白く読ませて頂きました」と仰って頂いたときは嬉しくて、思わず"キュン"となりました。「めっちゃイイ人だ!」って(笑)。もちろん、製本された台本を受け取ったときも、表紙をめくった最初のページに「脚本 桑村さや香」と印刷されてあるのを見た瞬間も感動しました。
私の中でお気に入りのシーンは、中盤で孝平がバイトしているコンビニでのロッカールームにいるところ。孝平のどうにもならない悔しさを、「ロッカーを閉める」という動作だけで表現していく部分です。お気に入りの台詞はラストなのでここでは言えないですが…(笑)。
逆に脚本を書いていてちょっと大変だったのは孝平と愛実の会話です。男女の会話はやっぱり難しかったですね、私にとっては(笑)。並木監督とも何度も話し合ったシーンでもあります。
並木監督とは最初の打ち合わせのときに私がイメージしている世界観を伝えさせて頂いたのですが、監督もそれと近い解釈をして下さっていて、私の脚本に足りない部分を演出で補って頂いたのではないかと思っています。本当に良い出会いをさせて頂いたと嬉しく思っています。
孝平の抱える痛み、悲しみ、そしてもろさは、人間なら誰でも抱えているものだと思っています。このドラマではそんな孝平に感情移入して観て頂けたら…。
尊敬する脚本家の方は野島伸司さん、岡田恵和さん、遊川和彦さん。この「フジテレビヤングシナリオ大賞」は2回目の応募で大賞を頂きました。これからは人間の感情の変化を丁寧に繊細に追った、観ている人が切ない気持ちになるような脚本を書いていけるようになりたいです。
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