カエルの王女さま
インタビュー vol.10
井坂清忠役 岸部一徳さん
撮影も残すところわずかとなりました。井坂清忠というキャラクターを演じてみての感想からお願いします。
やっていることは極めてまともなんですけど、それをちょっとデフォルメして描かれていて…。そういう意味でも、楽しく演じられる役でしたね。
娘婿の哲郎役を演じている小泉孝太郎さんも、「音楽堂の取り壊しにしても、実際の財政状況を考えたらやむを得ない、と考える人もいると思うし、リアリティーがある」とおっしゃっていました。
由芽市のためには正しい選択をしているんでしょうけどね。ただまあ、市の象徴をつぶす、ということですからね。最近は合併される市町村も多いので、こういうことはよくあることなのかもしれません。名称が変わるとかね。
そしてついに、清忠さんの過去が明らかになりました。
清忠の過去が明かされて、「ああ、音楽堂に対してこういう思いがあったんだ」ということで、ある意味方向も変わり始めて…。8話までは、完全にシャンソンズの敵でしたからね(笑)。まあでも、ドラマ自体が実に楽しいですからね。僕の周りにも音楽好きな人、音楽をやってた人、いまも音楽をやっている人が多いんですけど、音楽人間からするととても楽しめるんですよ。天海祐希さんやシャンソンズのみなさんがお芝居だけじゃなく、歌の部分でも頑張っている姿とか…あれは、よっぽど頑張らないと出来ないですからね。シャンソンズらしい雰囲気も素晴らしいし。
毎回、歌の持つ力を感じます。
選曲もいいな、と僕は思うんです。上手いこと選んでいますよね。コーラスのおかげで原曲とはまた違う魅力が出ていて、新鮮ですよね。新しい曲みたいに聞こえたりするのも楽しいですし、元気になれる。体がシャンとしてくるみたいな感じがいいですね。
劇中で使われている往年のヒット曲は、メロディーにしても歌詞にしてもアレンジにしても、とても印象的だと思うのですが…。
まあ、選ばれている曲ですからね。選ばれている、ということはかなり優れた曲、ということですから(笑)。その時代その時代にいろんな曲があって、そうでもない曲も多分あったんでしょうけど、その中からいま聴いてもいいな、と思う曲をチョイスしているので。アレンジが変わってる、というのもあるんですけど、シャンソンズが歌っている曲は、いまの曲に聞こえるんですよね。ドラマの中で歌われている曲を聞いたら、きっと若い世代の人たちも「いい曲だな」と思うんじゃないですかね。だから、それを集めてCDとかDVDとかを作れば、いいベストアルバムができると思いますけどね(笑)。
ストーリーと歌詞も絶妙にリンクしています。歌がストーリーを引っ張っているようなところもあると思うのですが…。
テレビドラマとしては、あまりないスタイルですよね。そういう意味では、挑戦しているドラマだと思います。テレビドラマの歴史…なんていうことを言うと何ですけど、その時代の人が「面白いドラマだ!」「新しいドラマだ!」というのは、振り返ってみれば、みんな挑戦しているドラマだと僕は思うんです。無難な、万人に受け入れられるようなドラマからはなかなかそういう作品は生まれないですよ。作り手にも勇気が必要ですからね。
最近は、スケジュールもタイトだったりしますが、その中でこのチームは、撮影の合間にレッスンやレコーディングもあり…
だから、天海祐希さんを筆頭に、シャンソンズのメンバーは本当によくやっていると思います。しかも、それがしんどそうでもないんですよね。楽しそうというか、まさしくシャンソンズになってやっている感じがするんです。それが歌のシーンにも出ていて、見てくれている人たちに届いているんじゃないですか?僕も出ているんですけど、見ている側に回ったときは本当に楽しいんですよ(笑)。大変さも楽しんでいるようにも見えますね。歌も上手いですし。
天海祐希さんと共演されてみていかがでしたか?
単純に分かりやすく言えば、馬力がある、現場を引っ張る力がある、ということでしょうね。主役としての心構え、ということもそうですけど、出演者を引っ張るということだけではなく、番組スタッフを含めて、ドラマそのものを引っ張る力があるんだな、と。普通の人とは違うエネルギーを持っていると思います。そういうエネルギーに引っ張られてシャンソンズも凄く魅力的に見える、っていう。離れたところから見ているとね。
澪さんと市長が対決するシーンは、いつも見応えがありました。
まあ、こっちはこっちで、自分は正しいことをしている、と思っているわけで…。天海さんとは、まったく違う役でまた共演してみたいな、と思っています。新しい場所とか新しい人たちと出会うと、経験だけではできないものや、自分の持つ力を振り絞らないとできないものがあったりするんです。そういうものがこの天海さんのドラマにはあったので…。外から見れば、「もう長いことやってるんだから…」という風に映るんでしょうけど(笑)、そういう作品に出合えると、やっぱりスリリングというか、楽しいんです。こういう仕事は、終わりがないですからね。自分で終わらせるしかない。まあ、不思議な仕事だな、と思いますよ(笑)。このドラマはなかなか挑戦的で、いいものが中にいっぱい詰まってて、俳優さんも挑戦しなきゃいけないものがあって、楽しいドラマだったなと思います。
ドラマが始まったころは、もしかしたら市長も歌うシーンがあるんじゃないか、という風にも考えました。さすがにそれは、ストーリー的にも強引過ぎるかもしれませんが…。
ストーリーでそこにもっていくのは難しいかもしれないですね。急に市長がそっち側に回る、というのも変なので(笑)。まあ最終回はどうなるのかわからないですけどね。
しかしながら、最終回まで凄い展開が待っています。
一挙にいろんなものが動きますからね。個人的には、ミッキー・カーチスさんが最終回に再登場されるのが嬉しいです。最後の着地点を含めて、とても上手くできていると思います。応援してくれていた人も、「最後まで見てよかった!」と思ってもらえるんじゃないかと思いますよ。
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□カエルの王女さま
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