カエルの王女さま
インタビュー vol.9
熊園桜役 濱田マリさん
桜ママを演じるにあたって、制作サイドから何かリクエストはありましたか?
監督の光野(道夫)さんには最初からキャラ設定が出来ていて、服のイメージ、アスリートであること、澪(天海祐希)の幼なじみであること…というように、たくさん情報を与えてくださったんです。それこそ、アクセサリーとかも一緒に選んでくださって。それが嬉しくて、楽しくて…。澪と同じ年代女性…そりゃあ女が40年も生きていればいろんなこともあったと思うんですけど、たくさんそういう情報をいただいて臨むことができたドラマだったので、感謝しています。
同じテレビドラマでも、現場が違えばいろいろなケースがあるわけですよね?
そうですね。凄くいっぱい作ってくださるんですけど、そこから先は「好きにしていいよ!」って言ってくださって(笑)。私は、みなさんのように歌ったり、踊ったりするレッスンをしなくてもいいし、たまにスタジオに来て撮影をするだけなので、"フリー演技"ですよね(笑)。そのことにも感謝、です!
ジャマイカに行ってしまったときは、どうなることかと…。
私は絶対帰ってきたかったですけどね(笑)。
澪の生い立ちは断片的にしか描かれてきませんでした。しかもそれは桜ママを通して伝わってきたりしていました。でも、澪と桜ママの距離感や雰囲気がとてもいいので、きっと仲が良かったんだろうな、と想像出来たりもしました。
幼なじみだし、澪のお母様のことも知っているみたいだし、多分、高校時代とかのことも知っているだろうけれども…。澪が心を許している相手って…それだけで美味しいんですけど(笑)。ブロードウェイから澪が帰ってきて、もの凄く久しぶりに会ったんだろうけど、そのブランクをすぐに埋めることができたと思うんですね、1話で。「澪が心を許せる桜ママの魅力って何だろう?」って考えたんですけど、それがわからないのがいいな、と思って。「何かよくわからないけど、この人たちはウマが合うんだよ」と思っていただければ、言葉にする必要はなくて…。
その澪を演じている天海祐希さんの印象は?
澪と桜って、ほとんどふたり芝居が多かったんですけど、あのテンポ感とか良さげな距離感でいることができるのは、すべて天海さんのおかげです。私、月に2回くらいしかスタジオにこないので、勘が鈍ってしまうこともあるんですけど、ちゃんと天海さんがリードしてくだるので、ああいう風な素敵な雰囲気になっているんですよ。ごめん&ありがとう、ですね。
いや、あれはおふたりにしか出せない空気感だと思いますよ。
う〜ん…でもやっぱりね、吉田智子先生と、監督と、天海さんに「ありがとう!」ですよ。ただ、ドラマの撮影って、ダーッと走り続けているわけで、その中でちょいちょいエネルギーを補充しなくちゃいけないんですけど、その役割ではなく、ケータリングの中にある飴みたいな存在だな、と今日思いました(笑)。ケータリングに、ケーキとかおまんじゅうとか並ぶじゃないですか。でも、たまに食べると「あ、美味しい!」っていう。私はそういう存在でいたいな、と思います。
今回は歌がメインのドラマですから、出演者のみなさんに、音楽のお話もうかがっているんです。例えば、影響を受けたアーティストですとか、よくカラオケで歌う曲ですとか…。
人生を変えたアーティストはモダンチョキチョキズというバンドで、影響を受けたアーティストは笠置シヅ子さん。歌っている笠置シヅ子さんを見たことはないんですけど、モダチョキのリーダー(矢倉邦晃さん)からもらった3枚組のCDがありまして、レコードから録音したのだからバチバチジュワジュワ、焼き肉屋さんのようなノイズが入っているようなCDなんですけど、それは本当にたくさん聴きました。声ももちろん大好きなんですけど、ブギばっかり歌っているのに飽きないし…。「この方に目の前で歌われたら気絶しちゃうな…」っていうくらい、とても魅力的なんです。私も昔は歌を歌っていましたけど、「音楽がなかったら死んじゃう…」っていうような人間ではなく、「無人島に何を持っていく?」と聞かれたら、音がでるものって優先順位はかなり低いです(笑)。私の場合は、CDより本ですね。というくらい、音楽に依存していないんですけど、カラオケは好きで…私、空気読みますから(笑)、「あ、盛り上げた方がいいな」と思ったら賑やかな曲を選びますし、「何か期待されているな」と思ったらそういう楽曲を歌います。好きな人と一緒にいったら、その人を落とす曲も持っていますし(笑)。ホントに、お金取りたいくらいです……嘘ですけど(笑)。
このドラマの中でも、山口百恵さんを始め、往年の名曲も数多く取り上げたりしてきました。10代の子たちがそれを聴いて、どう思うのかというのはとても興味深い点でした。
このドラマの中でシャンソンズのみなさんが歌う曲は、名曲って呼ばれているものですけど、ドラマの部分があるから、オリジナルを全然知らない世代の人にも、かなり深く浸透するんじゃないかと思うんです。たった1回の放送でも、かなり刻み込まれるんじゃないでしょうか。気のせいかもしれないけど…いや、気のせいじゃないな。子どものころに聴いた曲って、いまもずっと心の中にあるし、歌えますもんね。百恵さんで言ったら、『いい日旅立ち』とか歌えますし…。この間、自分でもビックリしたのは、石川ひとみさんの『まちぶせ』っていう曲があるじゃないですか。ユーミンが作った曲ですけど、あれ、フルコーラス歌えましたからね(笑)。
ちゃんと聴いたことがなくても、ということですね。
はい。ベストテン番組とかは見ていましたけど、それでも歌詞も見ないで…。テレビでやっていたんですね。私はキッチンにいながらそれを歌ってたんですけど、そうしたら娘が「凄い!歌えるんだ!?」って(笑)。
昔の曲のクオリティーの高さを感じますよね。
詩と曲ね。アレンジもその時代独特の、歌を引き立たせるようなアレンジがされていますよね。だから、頭に入ってくるんですかね?
忍役の千葉雄大さんは『ウエディング・ベル』は知らなかったそうです。
ああ、そうでしょうね。シュガーのね。可愛らしい曲ですよねぇ。それをまた、忠子(石田ゆり子)さんと哲郎(小泉孝太郎)さんのところで使うなんて…。ドラマのいろんな局面がありますけど、それにぴったりの曲ってあるんだな、って思いました。メッセージソングのときも、歌詞もそうですけど、伝え方が素敵でした。私、オンエアを見ていて感動しました。澪の歌をみんなが携帯で聴いていて、今度はみんなが由芽市の放送を使って歌うなんて…。あのシチュエーションによって、名曲がさらに輝いているような気がします。
個人的に強く希望したいのは、桜ママが歌うシーンをもっと見たいです。
えっ!? それはどうなんですかね? 特に絶対歌いたくないわけでも、絶対歌いたいこともないです(笑)。出していただけるだけで、私は幸せなので。でも、私は、シャンソンズに走り抜けてほしいので。もし歌ったとしても、誰かに殴られるんじゃないですか? 「お前、何やってるんだ? 空気読め!」ってね(笑)。
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□カエルの王女さま
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