カエルの王女さま
インタビュー vol.7
井坂哲郎役 小泉孝太郎さん
撮影は後半に差しかかりました。今回の現場に関して、どんな印象をお持ちですか?
僕は、あまりシャンソンズのみなさんと向き合ってお芝居をしていないんですよね。岸部一徳さんと石田ゆり子さんとの、家庭の中での苦しい立場のお芝居が多いので。前半から中盤にかけても、僕の立場は息苦しいというか、非常に辛いですね(笑)。玲奈(片瀬那奈)との関係も…本当にどうしようもない男ですよ(笑)。
哲郎というキャラクターを演じるにあたって、制作サイドとは何かディスカッションされましたか?
光野監督からは、「お義父さんの腰巾着というか、秘書のように見せたい」と。だから「ちょっと大袈裟でいいから、いつも右往左往していて、お父さんの言いなりのような感じで」ということは最初に言われました。見事にその通りになりましたね(笑)。ここまでずっとそうですからね。「ホントにダメだな」って僕も思いながら演じています。自分の意思がなかなか言えないし。
視聴者のみなさんから「哲郎、最低!」と思われたら成功なわけで…。
そうですね。「ああいう旦那、イヤだな…」って思ってもらえればいいわけで。演じるのは辛いですけど、それが楽しくもありますね。
中盤から後半にかけては、まだまだ波乱が待ちうけていますね。忠子さんとの関係はもちろん、シャンソンズの関わりにおいても…。
玲奈との関係がついにバレてしまいましたからね。6話、7話は、哲郎が一番酷いときです(笑)。いままで、哲郎も忠子も、向き合わなきゃいけないことをおざなりにしてきちゃったという面もあると思うんです。最悪の大ピンチでしたけど、修羅場でしたけど、一度、向き合って話さなきゃいけないときがくる、ということを予感させているような気はします。
そういう意味でも、この先の展開のキーパーソンのひとりなのでは?
もしかしたらそうなるかもしれません。お義父さんとも決別して、自立した夫になるのかな、っていう。ひとりの男として、忠子を支えていくようになる気がするんですけどね。
その妻・忠子を演じている石田ゆり子さんの印象は?
あんなにキレイな方が奥さんなのに…(笑)。石田さんが奥さん役で、本当に嬉しいんですけど、心苦しいですよ。現場でお会いする度に、「ああ、オレ酷いな…」って思いますから(笑)。仲が良いな、っていうシーンがほとんどないんですよ。だから、いつか夫婦らしいシーンを演じたいなと思っています。
岸部さん演じる市長・清忠さんとのシーンは最強だと思います。
ありがとうございます(笑)。岸部さんは、以前からいつかご一緒したいな、と思っていた方なので、共演することができて本当に嬉しいです。市長の腰巾着みたいな役柄で、良かったと思うんです。バシッとはまっている息の合ったコンビではないんですけど、見てくれている人は「不思議なコンビだな」って思ってくれるんじゃないかな、って。「岸部さんとのシーン、面白いね」って周りからも言ってもらえるので、嬉しいですね。
構図としてはシャンソンズの敵になりますけど、どこか憎めないところもあり…。
そこを感じてもらえると嬉しいです。僕らがシリアスになり過ぎちゃうと、ちょっとテイストが変わってしまうと思いますし。岸部さんと僕のシーンは、コミカルさも大事なんだと思います。真面目にやってるおかしさ、みたいなところが出ていると良いんですけどね。
扱っている問題は、市町村の合併とか、財政難の問題とか、ゴミ処理とか、リアルなところでもあるわけで、その辺も面白いですね。
リアリティーありますよね。だから、あの音楽堂だって、実際の財政状況を考えたら…という風に見る人だっていると思いますし。市の経済のことを考えれば、やむを得ない、という見方もあるわけで。最後にかけて、音楽堂がどうなるのか、というのは大きな問題ですからね。どこが終着点になるのか、まだ知らないので気になりますね。ハッピーエンドであってほしいとは思っていますけど…。いままでどうしようもなかった哲郎…地域振興課の仕事よりも市長であるお義父さんの秘書みたいな仕事を優先してきた彼が、住んでいる人たちをサポートできるような役割を担えたらいいな、と思っているんですけどね。
今回は歌がテーマのドラマということで、みなさんに音楽との関わりに関してうかがっています。影響受けたアーティストですとか、歌うことに関して、例えばカラオケでよく歌う曲ですとか、そういうお話を伺いたいのですが。
僕は、いまでも好きだし、日本のアーティストで一番影響を受けたのは、高校1年からのMr.Childrenですね。青春時代の思い出が詰まっていますし…。今回、『Mr.Children 2001‐2005<micro>』『Mr.Children 2005‐2010<macro>』というアルバムが2枚同時で出たんですけど、まだ買えてないので、早く買いに行きたいんです。僕が唯一、アルバムからシングルまで全部そろえているアーティストなんです。音楽だけを考えても、僕は家でも、移動の車の中でも常に聴いているんです。カッコいい言い方をすれば、『no music、no life』ですから。今回、いろんな大ヒット曲が使われていて、その試みも面白いなと思っていたんです。誰でも「あの曲を聴くと、あのころを思い出す」ということがあると思うんです。そういう音楽の力を感じます。落ち込むようなことがあっても、音楽を聴くと癒されたり、元気をもらったりする…僕は、主題歌も劇中の音楽も、凄く大事だと思っているんです。僕は歌い手ではないですけど、あの映画とあの音楽は切り離せない、という感覚ってあるじゃないですか。そういう風に、芝居と音楽がガッチリはまる瞬間って、本当に気持ちいいですよね。だから僕も、芝居をしているところで良い音楽と出合いたい、と常に思っています。
このドラマからも、歌の持つ力が伝わってきます。
歌が好きな人って元気なんですよ。歌が好きな人、カラオケが好きな人がこのドラマを見て一緒に歌いたくなる気持ちは良くわかります。良い曲はいつ聴いても良いんですよね。
ちなみに、小泉さんはカラオケにも行かれますか?
最近はあまり行ってないんですけど、ドラマの打ち上げとかで行けば歌います。そういうときでも、たまにミスチルを歌ったりしていますね。
最後に、今後の見どころも含めて、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
哲郎としてももう少ししっかりしてもらわないと困るんですが(笑)、きっと、いままでこのドラマを見てくださった方は、「懐かしいな」「あの曲、好きだな」っていう風に思ってくれたと思うんです。そういう歌の力と、生きていくための力…登場人物たちはそれぞれに問題を抱えて苦しんでいたりしますけど、一生懸命、真剣に生きようとする姿が描かれていますから、そういういろんな思いを感じとってもらって、ご自身のエネルギーにしてもらえたら嬉しいです。僕は今回歌い手ではありませんけど、シャンソンズや奥さんをサポートしていけたらいいな、と思っています。
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□カエルの王女さま
(C)フジテレビジョン