カエルの王女さま
インタビュー vol.4
羽田南役 福原美穂さん
この企画を最初に聞いたときに考えたことは?
最初にお話をうかがったときは、お芝居自体経験がなかったので、「私、できません」みたいな感じだったんです。でも、ドラマの具体的な内容をうかがっていく中で、私の歌を評価してくれているスタッフのみなさんや天海祐希さんたちの期待に応えたいな、という気持ちになったんです。
今回は、クランクインする前に歌のレッスンから始まる、という通常の連続ドラマとは異なるスケジュールで始まったわけですが…。
準備期間が長かった(笑)。いまも撮休の日はレッスンがあるので、みなさんはそれこそ睡眠もとらずにレッスンしているような感じですから。「ドラマってこういうスケジューリングなんだ…」って驚きました(笑)。でも、キャストのみなさんがとてもテンションの高い方たちばかりなので、一緒にいるときは本当に楽しいんです。いつも笑っていますね(笑)。音楽でストレスを発散させているようなところもちょっとあって、ダンスリハやボーカルトレーニングで体を動かしたり、声を出したりすることで、チーム感もどんどん強くなっていると思うんです。清々しいというか、「あ、これが音楽なんだな」って思いますね。自分が音楽をやっているときより、そういう思いは強いかもしれません。
お芝居に関してはいかがですか?
最初がキャバクラのシーンだったので、「どうしよう!?」って緊張していたんです。経験がないので、どんな感じになるのか想像できないんですよね。撮影の前日に天海さんがメールをくださって、「明日、シャンソンズじゃないシーンの撮影から始まるけど頑張って。コーラスライン、越えよう!」って。泣きそうになりながら、「頑張ります!」みたいな感じだったんですけど(笑)、そのロケが別日になったので、初めてのシーンがシャンソンズのみんなと一緒のところになったんです。最初の撮影のときにみなさんがいてくれたのは心強かったです。そのときのことは忘れないですね。本番までに綿密にリハーサルがあって、私も「ここで役をちゃんとつかんでいかなきゃいけないんだ!」って必死だったんですけど、舞台をみているような感覚もありました。声がちゃんと通るセリフの言い回しだったり…。私の声なんて全然かき消されちゃうくらいなんです。私の役柄はヤンキーなので、一番声が通らなきゃいけないくらいなのに(笑)。そういう部分は、撮影した映像をプレーバックしながら、どの辺のトーンだったら声が抜けるのかとか、毎回いろいろ悩みながらやっています。
今回、福原さんが演じている南というキャラクターに関して、制作サイドとは何かディスカッションされましたか?
私が想像していたイメージとは結構違いました。ちょっと暗い感じをイメージしていたんですけど、最初のリハのときから、「明るくて、憎まれないヤンキーなんだよ」というお話があって。そのときに、天海さんや片瀬那奈さんも加わって、「こういうヤンキーっているよね!」って実際にやってみせて助けてくださったりして…。監督やプロデューサーさんからは「まだ"福原美穂"入ってるよね!」って言われたりしますけど(笑)。ミュージシャンって、自分をどうカッコよく見せるかしか考えてないんですよ。でも、大島蓉子さんも「恥ずかしがったらこの仕事はできない」っておっしゃっていて。みなさんも、「1回開いちゃえば大丈夫だから!」って(笑)。いまはもう、ストレス発散になっているんですけどね、その開き方が(笑)。普段の自分にない部分を楽しんでいますね。
お芝居と歌、というのは当然違うものですが、「表現する」という意味では共通する部分もあるのではないかと思うのですが?
私は、自分の持っている言葉をどう表現して伝えるか、ということしかやってこなかったんです。それって、結局自分の身を削って書いている歌詞だったりという部分もあるんですけど、歌ってそれを発信したあとは、それが誰かのものになっていったりするのが音楽だと思うんです。自分を表現するのは凄く素直に、ストレートにできることだったんですけど、違う誰か…例えば「このときの南は、どういう気持ちなんだろう?」とか、撮影も1話から順番に、というわけではないので、「3話のときの南は澪さんのことをどう思っているんだろう?」とか、そういう気持ちの変化をつかんでいく作業はやっぱり難しいですね。表現する、という意味では、通じるものもあると思うんですけど、歌のシーンを撮ったときは、「やっぱり私は、音楽があって初めて1個になるんだな」って思いました。澪さんや玲奈(片瀬)さんと3人で踊るシーンを撮った時に、プレーバックを見ながら「やっぱり音楽があると生き生きしているな」って実感しましたから。
歌がメインのドラマですけど、その歌も演技のひとつでもあるわけで…。本職のシンガーとしてはプレッシャーも大きいのでは?
そうなんですよね。いろんな方から「期待してるよ!」みたいに言われるんですよね。だから私も、音楽で取り戻していこうと頑張ってます(笑)。でも、みなさん本当に歌が上手なので、ビックリしました。それぞれのキャラクターがキチンとあって、しかも歌も上手なので、私もいつも以上に練習してます(笑)。あと、自分がカバーしないであろう曲ばかりなので、「あ、こんな曲が日本にもあったんだな」という再発見とか、「私がこの辺の曲を歌うのもありなんだ」っていうのも見つけながら…。楽譜通りに歌うだけなら結構簡単なんですけけど、監督が求めているのは上手さとか出来栄えではなくて、どう伝わるか、という部分なので、それはレコーディングでも要求される部分なんです。「もっとヤンキーっぽく」とか…。
ヤンキーっぽく、というのは難しいですね。
難しいですよ(笑)。舌を巻くとか、そういうちょっとした仕草を研究したりとか(笑)。他のドラマを探しても、歌っているヤンキーの役ってなかなかないので、難しいですね。
劇中には、日本の音楽史を飾る往年の名曲がたくさん登場します。リアルタイムでそれを知らない世代にはそれがどう聞こえるのか、という部分はとても興味深いです。
そうですね。知らない曲ばかりだと思うんです。でも、昔の楽曲のクオリティーの高さは凄いと思います。4話に出てくる山口百恵さんの歌詞とかアレンジとか、斬新ですよ。私が新しいと思うのと同時に、多分、同年代とかもっと下の10代の子たちが聴いても、新鮮に感じるんじゃないかなって。全然古くなっていないし、似通ってもいないんです。いろいろ勉強にもなりますね。
最後に、視聴者のみなさんに向けてメッセージをお願いします。
登場するキャラクターたちはみんな濃くて、それぞれがいろいろな問題を抱えているわけですけど、きっとみてくださった方にも、どこかしら共感できる部分があると思うんです。南を見ても、私の近くに凄く似ている子がいたりとか(笑)。だから、そういう人たちがドラマを見て、元気になってくれたら嬉しいです。私もいろんなものを取り払って精一杯演技したいと思っています。音楽って、やっぱり人間にとって必要なものだと思うし、一番みんなが幸せになれる娯楽だと思うんです。このドラマを見て、一緒に歌ったり、友だちとカラオケに行ったりして、いろんなものを発散してくれたら最高です。よろしくお願いします。
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□カエルの王女さま
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