女信長
あらすじ

永禄3年5月19日未明、味方の劣勢が伝えられる中、織田信長(天海祐希)は柴田勝家(中村獅童)らに出陣を命じる。当時、天下人に一番近いとも評された今川義元(三谷幸喜)の軍勢が目前まで迫って来ていた。今川軍5万に対する織田軍はわずか2千。今川軍が宴を催しているところの虚を突いた出陣だった。織田軍降伏の噂をわざと流し、百姓のふりをした木下藤吉郎(伊勢谷友介)らに酒を差し入れさせ、油断させておいて奇襲を仕掛けたのだ。桶狭間の狭い谷間で逃げ場を失った今川軍は混迷を極め、今川義元自身も織田信長に種子島銃で討ち取られる。桶狭間の戦いと呼ばれるこの戦いで、織田信長の名は一躍有名なものとなったが、信長には大きな秘密があった。

天文3年5月、土田御前(高畑淳子)が授かった子は女子。側室がもうけた男子に家督を奪われることを恐れた土田御前は生まれた女子を男子として育てることを決意する。その女子こそが、のちの織田信長だった。父である織田信秀(西田敏行)がその事実を知ったのは、信長が織田家嫡男と世に知れ渡った後のことだった。

平手政秀(平泉成)を養育係として、嫡男として育てられる信長。だが女ゆえの非力さから、土田御前が信長誕生の3年後に授かった弟の信行(賀来賢人)に武芸の面で全くかなわず、母の土田御前からも疎ましく思われるようになっていた。
初陣を終えた戦場で信長は信秀に、自分をこの戦で亡くなったことにして女子として生かせてくれるよう懇願するが、信秀に織田家の家督を継ぎ天下をまとめることが織田信長の天命であると叱り倒される。

その2年後、かぶいた行動から城下でうつけ呼ばわりされていた信長と美濃の斎藤道三の姫、御濃(小雪)との縁談が決まる。御濃に自らの秘密を打ち明ける信長。御濃は驚きを隠せないものの、美濃に戻ってまた同盟の道具として使われるよりは、信長に嫁いで、以前より思い続けた相手のことをこれからも思い続けることを選ぶのだった。
父、信秀が亡くなり、その後信長のうつけぶりをたしなめるかのように平手も自害する。平手の遺書には信秀と平手の信長に泰平の世を作り上げて欲しいという願いがしたためられていた。決意を新たにした信長は家督を奪い取るべく斬りかかってきた弟・信行を返り討ちにし、織田家の家督を継ぐ。そして、天下を統一し、泰平の世を作ることを心に誓う。

桶狭間の戦いを機に今川家から独立した松平家康(藤木直人)と同盟を結んだ信長は斎藤道三亡き後の美濃の地を7年がかりで攻め落とし、地名を岐阜と改め居を移した。岐阜城下で関所や座を廃止した信長は京上洛への道を模索していた。家臣の柴田勝家は北近江の浅井家への攻撃を主張し、片や出世を機に改名したばかりの木下藤吉郎秀吉は浅井とは和睦すべきと真っ向から対立する。信長は秀吉に和睦の道を探らせることにする。成功した暁に何でも褒美を取らすという信長に秀吉は御市(長澤まさみ)が欲しいと申し出るが、思い上がるなと信長の不興を買ってしまう。
ある日、信長は病に伏せる。医者の診断を仰ぐと秘密が漏れてしまうため、信長は御濃と御市により織田家に仕える侍女、御長に姿を変えられ城下の診療所を訪れる。城下を3人で歩いていると御長は突如暴れ出した馬に襲われ、意識を失ってしまう。一部始終を見ていた若武者が御長に駆け寄って介抱をするが、その若武者こそが織田家との同盟の話し合いのために秀吉が招いた浅井長政(玉山鉄二)だった。

後日、信長と秀吉は北近江の小谷城に浅井久政(山路和弘)、長政親子を訪ね、同盟の契りを結ぼうとするが、覇気にあふれる姿で語り続ける長政をただならぬ様子で見つめていた信長は不可解にも突如として席を立ち、交渉を打ち切って岐阜城に戻り部屋に閉じこもってしまうのだった。
その信長の行動は秀吉にも勝家にも理解できるものではなかったが、御濃は信長の結いまげを解いて御長用の着物を羽織らせ、織田信長は浅井長政に恋をしたのだと信長に告げるのだった…。
後日、長政と2人きりで対面した信長は長政に秘密を明かし、結ばれる。
女として長政を愛してしまった信長は、嫁ぐことのできない自身の身代わりとして妹の御市を長政に嫁がせようとする。何も知らない御市は、同盟の道具として生きるのは戦国の女の定めであり、織田家のためになるならば本望と、素直に長政のもとへ嫁いでいく。その頃、将軍家からの使いという武将が信長を訪れてきた。武将の名は明智光秀(内野聖陽)といい、この男こそが後に信長の運命を大きく左右する人物であった。

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