女信長
インタビュー

天海祐希(織田信長/御長)
台本を読んで
「原作が出た時にすぐに読みまして『なんてロマンあふれるお話なんだろう、演じられたらいいな』と思っていたので、今回は神様がチャンスをくださったのだなと感じています。これが少し前のわたしでも後のわたしでもなく、今のわたしだからこそやらせていただけているのではないかと思って全力で頑張りたいと思います。原作をもう一度読み返した際、自分が演じるということでまた違って見えてくる部分もあったので、その印象を大事にして演じていきたいです」

オファーが来た時の思い
「上手く伝わればいいのですが『うわ、私のところに来てくれたんだ!こうしてまた巡り会わせてもらえたんだ』という気持ちが強くて、是非お願いしますと」

ヒゲについて
「信長さんの肖像画ってヒゲがすごく印象的ですし、出来ることは何でもやらせていただきたかったのでヒゲを付けることには全く抵抗はありませんでした。宝塚で『風と共に去りぬ』を演じていた時にも付けていたので、初めてではないんです。ただ、共演者の方々に笑われては困るので『初めによく見ておいてくださいね』って言ったんですけど、伊勢谷さんなんかは『全然違和感ないんですけど』って言うんです。逆に御長の格好をしていると『お屋形様、なんか違和感があります』とか言われちゃって、それもちょっとどうなのと(笑)。日を追うごとにヒゲを付ける位置も一発で決まるようになってきて、そのうち本当にヒゲが生えてきたらどうしようと思っています(笑)」

女信長を演じる上で
「戦場で父親の信秀から『天命を持って織田信長として生きていけ』と言われるシーンがすごく切なかった。女である14歳の御長を父親が谷底に突き落として「お前は信長なんだ。天命を持って生きていけ」と覚せいさせるんですが、信秀役の西田敏行さんもそのシーンはすごく切なかったとおっしゃっていました。その撮影で父親の本気さというか、信長に対する強い思いを感じたので早い段階でそのシーンを撮らせてもらえて良かった。自分の中で腹をくくるというか、決心がつきました。さらに、父親が亡くなったあと、平手(政秀/平泉成)が自決し、さらに弟信行を殺すという段階を踏んで信長として生きてきく決心をするんですが、それを機に腹をすえてからは演じやすくなりましたね」

女性として男性を演じることについて
「形は違うけれど宝塚で男役をやらせていただいていたので、女だけど男役を演じるということはなんとなく心の折り合いがつけやすかったと思います。ただ、今回は二重に演じているので、女性の部分をお芝居の中でどの程度出していいのかという加減がすごく面白いです」

ラブシーン
「御長は所々でちゃんと恋もしているので、恋をする時は思う存分人を愛すること、愛されることの喜びを感じてもらいたい。ラブシーンは素敵でしたね。内野さんと玉山さんとは色々意見を交換しながら有意義に演じられたと思います」

織田信長について
「ものすごく人気のある一番有名な武将なので『面白い、やらせてください!』と思ったと同時に『私、なんてことをしてしまったんだろう』というプレッシャーもあります。織田信長ファンの方や信長を勉強、研究されている方、ご興味のある方々の思いを全て網羅できるほど立派な信長さんは出来ないかも知れませんが、心意気と信長さんへの尊敬の念は負けないつもりで、きちんとハートを持って演じたいと思います」

織田信長の魅力
「この前タクシーの運転手さんが『信長はモダンですごくオシャレだった。品格が違う』とおっしゃっていて、本当にファンの方が沢山いらっしゃるんだなと。私自身は誰しもが思いつかない事を色んな角度から見る先見の明があった方だと思っています。もしかしたら、周りから理解されない思いや策があったかも知れませんが、三歩先を考えて進んでいた方だったのかと。もっと違う時代だったらまた変わっていたのかなとも思いますね。亡くなり方まで謎を残して、ミステリアスでロマンがある、人間的にすごく魅力的な方だと思います。織田家の家紋を背負って家康と対峙(たいじ)するシーンを演じて、この家紋の下に何人の人間が命がけで集まっていて、その人たちにも家族が居て、このときの信長は一体何人の人を背負っていたんだろうと考えたら押しつぶされそうになりました。信長はその恐怖や重みに耐えて生きていたと思うと、なんともいたたまれない気持ちになりました。あれだけ能力のある家臣たちが命がけで付いていった人なので、それくらい魅力的に見えるように演じなくてはと思っています」

信長の心の揺れ
「御長としては、大勢の人を引き連れていつ自分がやるかやられるかという毎日を過ごしている。信長として走り始めてしまった分、行くところまで行かないと休めないということを想像すると、どれだけの心労だったのだろうと…。女性としての生き方を捨てて信長として生きていくと決めたにも関わらず恋をしてしまうところも切ないし、その気持ちをかき消そうともがく姿もまた切ない。しかし、女性としての揺れる心を全面に出しすぎるのではなく、抑えるところと思い切り出すところを計算しながらお芝居するのがとても面白いです。光秀との恋は、恋が盛り上がることと自分の人生が終わってしまうという状況が反比例していてすごく面白いと思います」


今回は御長も含め60着以上の衣装を着ているので、そこにも是非注目していただきたいです。

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