任侠ヘルパー
- 第八話 -

その頃、部屋から窓の外を眺めていた鷲津は、外出から戻ってきた晴菜を目撃する。その手には、夏夫に差し入れられる花束があった。毎週送られてくるという花は、家族ではなく晴菜が購入しているものだったのだ。それを知った鷲津は、ホールにやってくると、夏夫が頼んでもいないのに、すぐにバレるようなウソをついてお前たちは偽善者だ、と激怒して暴れまわる。彦一らが止めても収まらず、ついには施設を出ていくと言う。そこで彦一が、「帰る場所はあるのか?」と聞くと、鷲津は、自分はこの辺りを仕切っている鷲津組の組長だ、と宣言。そして、服を脱ぎはじめる。利用者たちが怖がりながらも鷲津を見つめるなか、背中一面に彫られた刺青があらわになる寸でのところで、彦一と零次が鷲津を部屋へと連れ戻す。

部屋に戻った鷲津は、彦一に正体がバレたんだからここにはいられないだろう、と言う。が、彦一が答えないでいると、弱気な声で自分も夏夫と一緒で組の者から捨てられたんだ、帰る場所などない、とつぶやく。さらに、金を払うから組の者を呼んできてくれ、と彦一に懇願するように言う。そんなとき、夏夫のほうに来た彦一が、夏夫が息をしていないことに気づく。

同じ頃、りこは、刺傷した久米武雄(田中哲司)のマンションを訪ねていた。久米から、今回の件が鷲津組によるものだと聞いたりこは、部屋にあったナイフを手にするとマンションを後にする。

一方、救急車で病院に搬送された夏夫のもとに、息子・渉(梶原善)が妻と娘とともに到着する。一命は取り留めたものの、医師からは回復の見込みはなく、できるのは延命治療だけだと告げられる。渉は、夏夫には一日でも長く生きてもらいたいから、と言って延命治療を希望し、医師もそれを了承する。すると、渉は仕事があるから会社に戻ると言い出す。それを聞いた鷲津が、今度はいつ来られるんだ、と尋ねると、渉は答えに窮してしまう。そして、仕事の都合があるから、と迷惑そうに答える渉に鷲津が激昂。「なんのために延命なんかするんだ!」と食ってかかる。自分の非を認めつつも、それでも延命治療を希望する渉に納得できない鷲津は、家族がいるうちに死なせてやる、と言って夏夫の呼吸器を抜こうする。それを阻止した彦一は、夏夫の生死は家族が決めることだと一喝。それでも、「何が家族だ!捨てられた人間はどうなる」と怒りが収まらない鷲津に、鷲津を捨てたのはこの家族ではないだろう、と声を荒げる。それ以上、反撃できない鷲津に彦一は、帰るぞ、と声をかけ車椅子を押して病室を後にする。そこへ病室から出てきた渉が彦一に礼を言う。延命できることを父も喜んでいると思います、という渉に彦一は、どうして喜んでいるとわかるんだ、と冷たく言う。その言葉に驚く渉に彦一は、自分がそう思いたいだけだろう、自分の都合で人の寿命を決めてるんじゃねえ、と言い捨てる。

その頃、自宅で晶の帰宅を待っている涼太は、約束の時間になっても戻らない晶を心配していた。

施設に戻る前に外の風に当たりたい、という鷲津のため彦一はエレベーターで階下へおりようとしていた。乗り込んだエレベーターが閉まろうとしたとき、向かいのエレベーターが開き、りこが降りてくる。鷲津を認めたりこは、彦一らが乗るエレベーターに来ると扉に手をかける。そして、持っていたナイフを取り出した。そんなりこに彦一は…。

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