任侠ヘルパー
- 第六話 -

風間が多恵子に乱暴をしようと勘違いした百合は、の話も聞かずに、多恵子を家に連れて帰ると譲らない。そして、年寄りは好きあってはいけないのか、と問う彦一に、「いけないわよ、恥ずかしい」と吐き捨てて、多恵子を連れ帰ってしまう。 その後、零次は彦一らに、今後は利用者の色恋に首を突っ込むな、特に、認知症の人はやっかいだから、と釘を刺す。認知症でも感情はあるだろうと反論する彦一に、零次は、正常な判断能力のない人に言い寄ろうというのがどうかしている、あの歳で純愛もないだろう、過去を取り戻せるわけじゃないのに、と風間を蔑むような発言をする。それを聞いた二本橋が激昂し、零次に掴みかかる。二本橋は、止めに入った五郎、三樹矢をなぎ払い、彦一にも殴りかかる。彦一はそんな二本橋の胸倉を掴むと、頭突きを一撃食らわせ、二本橋を止める。

一方の多恵子は、家に戻ったものの落ち着かずに、夫と出かけると言うと顔に化粧を施していた。そんな多恵子に、百合ら家族はうんざりする。すると、そこへ二本橋と彦一がやってくる。

ドアを開けた百合に二本橋は、風間に多恵子をデートに誘わせてほしいと話す。たとえ、多恵子が風間を覚えていなくても、元夫と間違えていても、多恵子には風間の気持ちが伝わっている、認知症があっても人を好きになる気持ちはあるのだから、と二本橋はその場に土下座をして頼み込む。

数日後、ついに風間と多恵子のデートの日がやってくる。スーツに身を包み足どりもしっかりした風間は、同じように元妻に会い行く二本橋を激励すると、颯爽と出かけていく。

待ち合わせ場所にやってきた風間は、美術館のチケットを2枚握り締めて多恵子を待つ。

同じ頃、カジュアルなファッションに身を包んだ二本橋は、男性が運転する車に乗る元妻を見つける。これから元夫に会いに行く妻を心配そうな表情で見守る男性に、元妻は「大丈夫」と笑顔で応える。それを見つめる二本橋は、動くことができない。

一方、多恵子を待ち続ける風間のもとへ、彦一が駆け込んでくる。あろうことか、多恵子が肺炎をこじらせて亡くなったと連絡が入ったというのだ。そんな突然の報せに、顔を硬直されながらも、「もう少し待つか」と言う風間。しかし、やがてこらえ切れずに嗚咽をもらす。

再び娘・瑞穂と待ち合わせをした二本橋は、前回よりもハードな極道風のスーツに身を包み現れた。その格好で母親に会ったのか、と冷たく言う娘に、これが自分の本当の姿だから、ときっぱりと言う二本橋。そんな父親に、瑞穂はコップの水を浴びせるとその場を立ち去る。

後日、多恵子の葬儀に出た零次と晴菜に、百合が声をかける。多恵子が持っていた古い写真が見つかり、そこに、学生服姿の風間と多恵子が写っていたというのだ。認知症のため、風間を元夫と勘違いしていると思っていたが、実は風間だと認識していたのではないか、と百合はすまなそうに話す。

その日の夜、「タイヨウ」に戻った零次は、事務所でひとりインターネットの掲示板を見ていた。そこには、「ハートフルバード」に関する批判があふれていた。そんな零次を、彦一が見ていて……。

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