虹を架ける王妃
-みどころ-

◇運命の絆

婚約の際に約束した通り、李垠(り・ぎん)殿下は日曜ごとに梨本家を訪れたが、方子とはこれといった話もせず、ただ一日を過ごして帰っていくことが繰り返されていった。
垠は朝鮮李王朝の後継者だったが、朝鮮国支配を目論む日本国政府側が画策し、11歳から"留学"という名目で日本での生活を余儀なくされていた。日本での家庭教師は初代朝鮮総監の伊藤博文が務め、彼の学業のみならず生活全般にわたって手厚く、大切に養育してきた。しかし、祖国を旅立つ時に交わした"年に一度は朝鮮に里帰りする"という約束は果たされることなく、垠は実母の臨終にも間に合わなかったという。国家間の事情で家族の温もりを知らずに過ごしてきた彼は、口数の少ない、表情の乏しい青年になっていった。
両親に心配をかけてはいけないと、気丈な方子は敢えて明るく振舞っていたが、何を考えているのかさっぱり分からない殿下や未来への不安は、次第に大きく膨らんだ。
そんなある日、二人は庭の木の上にある巣から落ちてしまった雛鳥を見つけ、屋敷へ持ち帰り手当てをする。「親鳥と離れてしまったのも運命だから仕方がない」と自分と重ね合わせるかのように言う垠をふりきり、方子は「そんな運命はいやです」と、巣のある木へと駆け出す。そんな方子に驚きながら、咄嗟に追いかけ肩を差し出して手伝う垠。その日から、2人の心に変化が見えるのであった。
*敬称略

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