なでしこ隊
- あらすじ -
同じ頃、富屋食堂の店主・鳥濱トメ(薬師丸ひろ子)もまた、特攻の悲劇に呑み込まれようとしていた。軍の指定食堂だった富屋食堂には、多くの特攻隊員たちが訪れるようになったのだ。極秘の任務のため、自分が特攻隊員であることを、家族にさえ告白することが出来なかった特攻隊員たち。トメは、そんな隊員たちの誰にも見せられない悲しみを、母親代わりとなり、受け止めるようになっていた。
穴澤利夫少尉(山根和馬)もそんな隊員の一人だった。英国製の洒落たマフラーをしていた穴澤は、5度の出撃に失敗、上官から厳しく叱責されていた。実は、穴澤には婚約したばかりの恋人があり、彼女に伝えることもないままに、知覧に来たのだった。穴澤が肌身離さず身につけていた女物のマフラーはその婚約者のものだったのだ。
当時、「笑って出撃する」と伝えられていた特攻隊員…だが、彼らはそれぞれに家族や恋人といった大切な人たちとの別れの悲しみを押し殺していたのだった。
基地での日々を重ねるにつれ、笙子もまた、次第に特攻隊員たちの隠された姿を知るようになっていた。笙子が、本島桂一少尉(成宮寛貴)と出会ったのは、そんな時だった。
出撃の覚悟の固い本島は、残された人々の命を守るためには、自らの命を差し出すしかない、そう考えていた。だが、そんな本島も実は、誰にも打ち明けられない苦悩を抱えていたのだ。
しかし、それぞれがどんな事情を抱えていようとも、特攻隊員たちの出撃は、刻一刻と迫って来ていた─。
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