名前をなくした女神
インタビュー 第6回
秋山拓水役・つるの剛士さん
■まずは台本を読んだ時の印象からお願いします。
僕自身、シリアスな内容のドラマはあまり経験がないので、楽しみにしていました。まあ、僕らが演じる秋山家は、ドラマの中では一番平和というか、ナチュラルなスタンスの家族ですからね。でも、今後の展開次第で、まだどうなるかわかりませんけど(笑)。秋山家にこの先、どんなことが起こるのか…。監督たちがいつも「ま、いまはね…」「いまはまだ笑っていられるけどね」って、必ず前フリするんですよ(笑)。だから、それも楽しみにしています。
■今回の拓水というキャラクターを演じるにあたって、制作サイドと何かディスカッションされましたか?
ある意味、普通の感覚を持ったキャラクターなので、それほど大きな特徴はないんですけど…。多分、視聴者のみなさんも段々不安になってくると思うんですね。だから秋山家がパッと出てきた瞬間にホッとしてもらえるというか、そういう役作りはしたいと思っていました。
■キャラクター的に、つるのさんご自身ともかぶる部分も多いのでは?
そうかもしれないですね。まあ、子どもが少ないのでこちらは育児的に随分楽ですけど(笑)。奥さんの侑ちゃんを演じている杏さんとは、設定では5歳違いということになっていますけど実際はひと回り近く歳が違うんですよ。しかも背が高くて足が長い!(笑)。だから、見た目的な部分とか、並んだときのバランスには気をつけています。
■杏さんとのお芝居に関してはいかがですか?
ホントに顔がちっちゃくて足が長くて…僕、いままであんなに身長が高い女性と付き合ったことないですもん(笑)。なので、最初は戸惑いもありましたね。目線が同じ高さなんですよ。それだけで随分感じ方が違うんです。秋山家に限らず、出演者はみんなとても仲が良いので現場はすごく楽しいんですけど、そこだけはちょっと苦労しています(笑)。
■このドラマは『子育て』『お受験』が大きなテーマになっています。「子育てにマニュアルはない」と言われていますが、実際に子育てをされているつるのさんはどんな風に感じていますか?
ドラマほどではないにしても、ママ友の関係っていうのはやっぱり難しいものがあると思います。ドラマなので分かりやすくなっていたり、誇張されたりしている部分はあるにしても、実際にいろいろな問題が起きていたりするので…。ウチの奥さんともよく話すんですけど、ママ友同士のトラブルはあるみたいです。ウチの奥さんは結構ドライなのであまりそういうところに入っていかないんですけど、ランチの誘いを断っただけで陰でいろいろ言われた、なんてこともあるみたいですし。ドラマを見てくれた人も、「あるある!」って思うこともあるんじゃないですかね? 僕も、ついつい自分の家庭に置き換えちゃうんですよね。だから、家に帰っても息子のことを「健太」って呼びそうになったり、奥さんのことを「侑ちゃん」って呼びそうになったり(笑)。一夫多妻的な生活を送っているような気がしています(笑)。不思議な感覚ですね。
■お受験に関してはどうですか?
お受験をさせてもさせなくても、どちらでもいいと思うんです。やらせたいと思うなら、やらせればいいだけだと思うんです。ウチは、基本的にはあまり考えていないんですけど、後々、子どもと相談しながら考えていこう、ということにしています。何より、夫婦が仲良くて、普段の生活を楽しんでいれば、子どもたちはついてきてくれる、というのがウチの教育方針なので。
■親がブレない、というのは大事ですよね、きっと。
それが一番大事だと思います。
■時代性という視点ではどうでしょうか。たとえば、つるのさんが子どものときと、いまの子どもたちの置かれている状況を比較して、何か感じることはありますか?
情報量、ということでは大きく違いますよね。情報があふれているせいか、それに流されてしまったりして、親たちが自信を失っているようにも思えるときがあります。自分の生き方そのものなのか、家庭の在り方なのか、とにかく迷っている人が多いような気がします。ウチは両親もとても仲が良くて、僕自身も結婚に憧れていたんです。「結婚生活っていいな」「こんな家庭を作りたいな」「父ちゃんみたいになりたいな」って思っていたんです。そうやって見たり、経験したりしたことが、いまの僕の子育てに受け継がれているわけで…。だから、それが僕の子育てのマニュアルなんです。自分ができないことを子どもにやらせる人もいるじゃないですか。僕は昔から好きなことがいっぱいあったんで、続けてきて良かったな、と思うことを子どもに伝えていきたいんです。そうじゃないと、子どもにその熱が伝わらないと思っているんです。子どもは親を選べない、というセリフもありましたけど、僕は両親に感謝していますし、その幸せが当たり前のことばかりじゃなかったこともわかっているので、ふたりの子で本当に良かった、と思っているんです。だから、そういう風にウチの子どもたちにも思ってもらえたらいいな、と思いながら、夫婦でベタベタしてます(笑)。
■マニュアル通りにいかないと、それがまたプレッシャーになってしまう、と悩んでいるママもいるそうですが、もっと柔軟に考えてもいいのかもしれないですよね。
真面目すぎるというか、シリアスにとらえ過ぎてるんじゃないかな? 自分の思い通りにはならないんだから、もう少し肩の力を抜いてもいいんじゃないかな、って思うんですよね。言葉は悪いけど、もっと不真面目でもいんじゃないかな、って(笑)。僕は、早く子どもたちに大きくなってもらって、さっさと家を出て行ってもらって、あとは夫婦で仲良く…みたいに思ってますよ。家族で旅行に行ったりするのも一大事ですけど、将来、奥さんと一緒に旅行に行くときのロケハンだと思えばいい、って思ってますから(笑)。
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