名前をなくした女神
インタビュー 第4回

沢田利華子役・りょうさん

■今回の現場はどんな印象ですか?みなさん、とても仲が良いですよね。
ドラマの内容に反して(笑)、メインのママ友5人は本当に仲が良いんです。今回は、顔合わせ(撮影前にオールキャスト&スタッフが集まること)がなかったんですけど、その代わりのようなリハーサルで初めて5人が揃ったとき、「あ、これは上手くいくな!」って思ったんです。直感型なので(笑)。空気感が良かったというか、作品に対する真摯な姿勢を感じることができたというか…。だから、「これはいい作品になるんじゃないかな」と、クランクインを楽しみにしていたんです。

■ポスター撮影のときにも感じましたが、ママ友のみなさんはいつも明るくて笑い声が絶えなくて…ステキでした。
みんな個性が強いんですよ。杏ちゃんは真面目で責任感も強いし、最年少の倉科カナちゃんは人懐っこい、愛されキャラ…という風に、みんな違っていて、上手くバランスが取れているんだと思います。くだらないことでギャーギャー言い合ったりしながらやってますね(笑)。ドラマの内容自体は、そんな風に仲が良いわけじゃないから、そこがまた面白かったりもするんです。だから、撮影のときは真剣に取り組んで、現場を離れたらワイワイ騒いで(笑)。

■利華子さんというキャラクターを演じるにあたって、制作サイドから何かリクエストはありましたか?
利華子は、ただひとり、仕事を持っているママ、ということで、私なりに本を読んで思った人物像というものを提案させていただいたんです。唯一仕事を持っていますし、子どももふたり目、というところで、他のママより少しだけ余裕を持って子育てをしているし、お受験にも取り組んでいる人だと思ったんですね。性格的にも、他のママたちはちょっと裏があったりするんですけど、利華子は裏表があまりない人なんです。だから、普通、というわけではないですけど、まあ一番共感しやすい存在が、侑子と利華子、ということになるのかな? 利華子は、他のママたちのことを嫌っているわけではないし、仕事は仕事、家庭は家庭、ママ友との付き合いはママ友との付き合い、という風に上手に分けながら、まず子どもが第一、というスタンスでやっている人、というイメージが自分の中にあったので、「そういう感じでいきたいです」というお話をさせていただいて…。その辺りは、監督たちも同じイメージだったようです。

■その『ママ友』という言葉に対して、りょうさんご自身はどんなイメージをお持ちですか?
間に子どもがいますからね。子どもを通してですから、名前で呼び合うわけでもなく、『○○くんママ』『○○ちゃんママ』と言っているわけだし…。だから、侑子と利華子のふたりのシーンで、「私たち、違うところで出会ってたら、そんな風に呼び合ったりしなかったかもね」っていうセリフがあるんですけど(第1話)、それは確かにそうなんでしょうね。でも、難しいですよね。そこから始まった関係だから、あんまり仲良くなりすぎても、「もし子ども同士で何かあったらどうするのか?」って考えると…。子育ての苦労を共有しているという側面はあっても、友だちになれるかどうかはまた別の問題でもあるわけですから。

■もうひとつ、物語の大きな軸になっている『お受験』に関してはいかがですか?
私は、実際に5歳になる息子を持つ母親でもあるんですけど、周りの人たちから言われ始めたんですね、去年あたりから。「お受験、どうするの?」って。みんな、お受験ありきで話をしてくるんです(笑)。でも私は、まったく何も考えていなかったんです。理想としては、幼いころの自分がそうだったように、近所の小学校に入学して、帰ってきてランドセルを放り投げて、「行ってきます!」っていって近所の子たちと遊んで…というのがいいんじゃないかな、と思っているんです。楽しんでもらいたいんです。ちょっと遠いところの学校に行っていて、帰ってきても近所に友だちがいない、というのも可哀そうだな、って思うんです。でも、周りの人たちに言われて、しかも今回このドラマのお話をいただいたので、ちょっと考えたりもしました。どちらにも、良い面もあれば悪い面もあると思うし、その子ども自身が何に興味を持っているのか、ということを観察して、それを伸ばしてあげるべきなのかな、とか…。いまはいろんなことに興味津々ですから、それならば何かひとつに決めずに、もっと大きな視野で見てあげる…それが公立なのかはわからないですけど、そういう場所に出してあげる方がいいんじゃないかな、とも思いますし。ただ、何をするにしても、親がきっかけを与えてあげないと、ということもあるんですよね。紙と色えんぴつを置いてあげないと絵も描けないじゃないですか。その子どもがどういうことに興味を持つのか、そのきっかけを出来る限り広く与えてあげられる存在でありたい、と思っているんです。

■先々のことを考えれば、小さいころに頑張って良い学校に行った方が楽、という面もあると思いますが、それがすべてでもないわけで…難しいところですよね。
私の知人は、上の子は普通の公立の小学校、下の子はお受験をして入った、自由なインターナショナルスクールみたいなところに通わせているんですけど、その方に、「周りの人からお受験のことを言われるんだけど、どうしたらいいと思う?」って聞いたら、「いいんじゃないの、後で決めても」って言っていました。「とりあえず、いまはこっちなんじゃないかな、という方向に進ませておいて、変更するのは大変だけど、もしも別の方向がいいと思ったらそのときにすればいいんだから、いまから固く考えなくてもいいんじゃない?」って言われて…。転校とかさせたりすると子どもは大変かもしれないけど、まあそれもアリなんじゃないかな、って思ったりもしてますけど。

■そういう意味では、利華子というキャラクターはりょうさんの考え方とそうかけ離れていないのでは?
そうですね。とりあえずいまのところお受験させる理由は、長男がインターに行ってて、それがいいなと思ったから、下の子もそうしようかな、っていう感じですからね。母親が必死になりすぎてしまって、そういう気持ちが子どもに伝わるのも嫌なんでしょうし、もちろん合格を目指すけどそればっかりになってしまうのもどうなのか、と思っているところはあるので。

■このドラマで描かれるママ友たちの複雑な関係性はとても面白いですけど、それぞれの旦那様もなかなか面白いキャラクターばかりで…。
私、それが凄く楽しみなんです(笑)。利華子は、母親として凄く強くて、いまはふたり目の旦那様がいますけど、旦那がいなくても多分、子どもを育てることができるんじゃないかと思うんです。もちろん、子どもにとっては父親は大事な存在ですけど、現実に利華子が旦那を食べさせているようなところもあるので、経済的な面では困らないわけですし(笑)。でも、どこか『女』というものがキチンとあって、いないとやっぱりダメなんでしょうね。利華子は『子育て』『家族』『仕事』『女』っていう風に、上手くバランスをとって楽しんでいる人のような気がするんです。ただ、そのどれかひとつがなくなって、バランスが崩れてしまったときにどうなるのか…。ママ友同士のことだけじゃなくて、夫婦間の、男と女としての部分がそれぞれ描かれている話でもあるので、私はその部分をとても楽しみにしています。

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