名前をなくした女神
インタビュー 第3回
進藤真央役・倉科カナさん
■まず、今回の現場の印象からお願いします。
とてもアットホームな雰囲気だと思います。子どもたちもいますから、明るくて和気あいあいとした感じです。子どもたちにはホントに癒されていますねぇ(笑)。エネルギーが溢れていて…。ただ、こちらがそれにつられてしまうとお互いに疲れてしまったりすることもあるので、ある程度は私たちが気をつけて、ペースを守りながら、オンとオフを使い分けるように心がけています。
■台本を読んで最初に感じたことは?
最初は不安もありました。ママ役ですけど、子どもを産んだこともないですし、幼く見られてしまうことも多いので、「ママに見えるかな?」って。元ヤンキーという設定もそうなんですけど、ただ、自分にないものばっかり、ということは、作る楽しみがあるということでもあるので、不安な気持ちをやりがいに替えてやっていこうと思ったんです。だから、いまは逆に楽しみながらやっています。
■制作サイドから何かリクエストはありましたか?
衣装合わせの前に、自分でもいろいろ調べていったんですね。若いママなので、もしかしたらギャルっぽいメイクかもしれないし、ヤンキー系だったらメイクとか衣装はこんな感じかもしれない、というような部分を。そうしたら、「お受験の話なので、あまり見た目での表現にはせずに、演技で…特に進藤家にいるときは、ちょっと外では見せない顔をしよう」という話になりました。外と内との顔の差をつけたい、ということでした。
■真央というキャラクターを端的に表すキーワードは何でしょう?
何だろう…。「コンプレックス」とか「嫉妬」とか…。あ、でもみんな「嫉妬」はありますもんね(笑)。あんまり、心の内を出さないようにしているところがポイントかもしれません。内心「ムカっ!」ってきていても、その場ではそれを表現せずに、家に帰ってから一瞬垣間見える、というか…。侑子(杏)さんの後姿をじっと見ている、というシーンも、それまでは結構、「え〜、全然何でも聞いてくださいっ!」っていう感じだったのに、そこだけチラッと真央の本性が垣間見えているというか。ただ、そういうところもあんまり出し過ぎたくはないので、そのスイッチの加減が難しいな、と思っています。
■女であり、妻であり、母である、という役柄に関して、倉科さんご自身はどう感じながら演じていますか?
考えなきゃいけないんですけど、どうしたらいいのかわからない部分でもあるんですよね。母である、という部分は自分の想像で埋めるしかないし、妻である、という部分もそう。妻というのは何度か演じたことがあるので、そこは何とかなるんですけど…。幼稚園のこととかもまったく知らないので、そういうところは自分で調べてみたりしました。ウチの子は羅羅(谷花音)っていうんですけど、とにかくカワイイんです。今回は、撮影の合間とかも、なるべく彼女と一緒にいるようにして、会話をするように心がけています。「早く進藤家の空気感を作ろうぜ!」みたいな(笑)。
■杏さんもおっしゃっていましたが、現場でみなさんを見ていると、やっぱり子どもを見つめているときの目はお母さんに見えます。それが女性の持つ母性なのかな、と思ったんですけど…。
あ、そういう部分はあると思います。子どもを見ているとき、やっぱり何かが違う感じがしたんです。だから、「私にも少しは母性っていうものがあるんだな…」って思いました(笑)。私は、女優としてまだまだヒヨっ子なので、それを頑張って引き出そうとしている最中なんですけど…。さっきも、撮影の合間にみんなでお絵かきをしていたんですけど、「洋服汚しちゃダメだよ!」「ホラ、袖めくって!」って、みんなが自分の子どもをちゃんと見ているんですよね(笑)。私も、自分のこと「ママ」って言っちゃうときがあるんです。いま、妹と一緒に住んでいるんですけど、「今日、ママねぇ…」って(笑)。
■つるの剛士さんも、同じようなことをおっしゃっていました。「家に帰って、奥さんのことを"侑ちゃん"って呼びそうになった」と。
アブない(笑)。でも、わかります!
■杏さんや木村佳乃さんたちとの共演に関してはいかがですか?
最初は緊張もあったんですけど、みなさん、とても気さくな方ばかりなんですよ。だから、撮影の合間とかもいろんな話ができるので、ホントに楽しいです。演技しているときは…みなさん、素敵な演技をされる方なので、「私もしっかりやらなきゃ!」って刺激になります。モニターを見て、「うわ、こんな表情されてたんだ…」って気づくことも多いので。そういう現場なので、私も一生懸命頑張れば、きっと終わったときには何かを得ていると信じてやっています。
■親友ではないし、単なる知り合いとも違う『ママ友』という関係性に関してはいかがですか?
怖い(笑)。私自身、どこかで女性は怖い、と思っている部分もあるんですよ。最近になって、ちょっと年齢が上のママの方とかと遊んだりもするんですけど、お話を聞いていると、やっぱり怖いんですね。何をするのにも、ちょっと気を遣わなくちゃいけなかったりもするみたいですし…。例えば、みんなで鍋パーティーをする、ってなったとき、お皿を分けるとか洗うとかっていうことで、「何であの人はやらないの?」みたいに言われたりすることもあるらしく…。でも、いずれは私もそういう世界を経験することになると思うので、このドラマが予行練習みたいな感じかもしれません(笑)。
■もうひとつ、お受験という大きなテーマがあります。倉科さんはお受験に関して、どんなイメージをお持ちですか?
私は良いイメージがあるんですよね。エスカレーター式で大学まで行けたりするのはいいですよね。先々…中学校で頑張るか、小さいうちに頑張るか、ということだと思うんですけど、「勉強は楽しい!」って子どもにわかってもらえるのなら、挑戦してもいいと思うんです。
■社会に出てから、「もっと子どものころにちゃんと勉強しておけばよかった」と思う人も多いですしね。
そう(笑)。私もあまり勉強をしなかったので、子どもにはさせたいな、と思ったりして(笑)。あの時代にしかできないことも結構あるけど、吸収力も大きいですからね。だから、自分の子どもにもちゃんと勉強をやらせたいな、とは思うけど、あまりにもそっちに偏り過ぎてもいけないでしょうし…。こういう作品をやると、いろいろ考えさせられますよね。「もし、自分が子どもを産んだらどうしよう?」って。子どもにも個性があるんだから、これが正解、って言うことはできないでしょうしね。
■最後に、このドラマに期待してくれている視聴者のみなさんに向けて、メッセージをお願いします。
とてもスリリングなドラマになっていると思います。5人のママは、それぞれタイプも環境も違いますので、その中の誰に視点を合わせて見るか、という楽しみ方もできると思いますし、「あのママ、○○ちゃんママに似てる!」とか「女って怖いな…」とか、いろんな見方ができる作品です。でも、スリリングな内容の末に、きっと5人のママたちは、それぞれ何らかの選択をしていくと思うんです。ママ友との関係やお受験を通して、きっと彼女たちが出すであろう答えに、私自身もとても興味があります。最後まで応援していただけたら嬉しいです!
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