名前をなくした女神
インタビュー 第1回

秋山侑子役・杏さん

■撮影が始まりましたが、今回の現場に対してどんな印象をお持ちですか?
現場はとても楽しいです。それぞれのシーン…子どもとふたりだけのシーンも楽しいですし、夫の拓水役を演じるつるの剛士さんとのシーンも楽しいですし、ママ友のみなさんと一緒のシーンも集まれば一瞬にして女子高のようになってしまうくらいかしましい感じになりますし(笑)。

■キャストも多いですし、子どもたちもたくさんいるので撮影も何かと大変でしょうが、その分、楽しさもたくさんある現場なのでは?
そうですね。子どもたちも、目を離すと遊具で遊び始めたりして(笑)。

■台本を読んだときに最初に考えたことは?
ママたちのこういう関係って複雑ですよね。もちろん、一番に考えなければいけないのは子どものことなんですけど、逃げ場がないというか…。『名前をなくした〜』というタイトル通り、母親は自分のアイデンティティーをどんどんなくしていってしまう中で人付き合いをしなければならない、というところが興味深いなと思いました。

■実際に「○○ちゃんママ」と呼ばれるわけですしね。
私も親に聞いてみたら、そう呼ばれていたし、呼び合っていた、と教えてくれました。

■物語は、ママ友同士の軋轢や息苦しい関係性が描かれていて、リアリティーがありますね。
今回の台本を作るにあたって、プロデューサーさんたちはいろいろとリサーチをしたそうなんです。でも、ドラマ用に誇張したり脚色したりしているのではなくて、逆に現実を削っていかないとドラマのエピソードにならない、とおっしゃっていました。現実の方がもっといろんなことが起きているみたいですね。

■そんなママ友の世界に足を踏み入れた踏み入れることになる侑子というキャラクターを演じるにあたって、特に気を付けていることは?
子どもがいて…しかも、とっても元気がいい男の子の母親なので、子ども目線で話すときは明るく、テンションも高めに、というのを心掛けています。つるのさんとは、撮影以外のところでも、「拓ちゃん」「侑ちゃん」と呼び合っています。もちろん、健太役の藤本哉汰くんのことも「健太」って普段から呼ぶようにしていて…。そうしているうちに、どんどん本当の家族のように、ナチュラルな感じになっていくのを感じました。

■不思議なもので、テレビって画面を通してそういう空気感は伝わるものなんですよね。
そうだと思います。健太の表情、とても可愛いんです。ワクワクしているときも、楽しいときも、ホントにそれが伝わってくるんです。モニターを見ていても、みんなで崩れ落ちゃうくらい可愛い(笑)。そういう子どもたちのシーンもたくさんあるので、楽しみにしていただきたいですね。きっと、1時間があっという間に終わってしまうようなドラマになると思います。

■しかも、次回が凄く気になる内容ですから。
いま3話までいただいているんですけど、夢中で読んでしまいました。この間、脚本家の渡辺千穂さんが現場にいらっしゃって、「いま4話書いてるから、楽しみにしててね!」っておっしゃっていたので、いまそれを待ち焦がれている状態です(笑)。

■女であり、妻であり、母である、という役柄ですけど、そういう部分に関して何か考えたことは?
とりあえず女ではあるけど、妻と母、というのは未知の部分で…。ただ、今回はあまり役作りということに囚われないようにしているというか、逆に、子どもといると、子どもがそうさせてくれる、という感覚かもしれません。子どもといるとみんな母親の顔になるんですよね。5人の中で『リアル母親』はりょうさんだけですけど、みんな、顔まで似てきているような気がするくらい(笑)、それぞれの家庭のカラーが出ていると思うんです。

■秋山家は夫婦関係も良好だし、健太くんも明るくていい子なのに、いろいろなトラブルに巻き込まれてしまい…というのが、とても切ないです。
でも、単に意地悪をされている、ということだけではなく、侑子にも結構過ちがあるというか、知らず知らずのうちに他人を傷つけてしまったりしていて…。地雷を踏んでしまっているんですよね。ママたちも、悪いことをしようと思っているんじゃなくて、それぞれの正義がちゃんとあるわけで、その向いている方向が違うからぶつかってしまう、というところにリアルさを感じます。

■今回の作品は『お受験』という題材がひとつの軸になっています。お受験に関して、杏さんご自身はどんな印象をお持ちですか?
正解のない問いだと思うんです。今回、ドラマを通して侑子自身も、「お受験って何なんだろう?」って最初から考えていて、とりあえず健太をお受験のための塾に通わせたりするんですけど、その中で私自身も、お受験に関してだけじゃなく、子どもについて、子育てについて、いろんなことを考えさせられると思うんです。でも、みんなが見た後に同じ答えを見つけるか、というと、そうでもなさそうな気もします。見る人によって、それぞれの考え方、答えが変わってくるようなドラマなんじゃないかな、と思います。

■子育てに関しても、マニュアル本のようなものがたくさんありますけど、必ずしもマニュアル通りにはいかないから難しいのであって…。
そうなんですよね。このドラマは、決してお受験を否定しているわけではないし、「確かに、そこはお受験のいい面だよね」って思う部分もちゃんと描かれていると思います。

■最後に、視聴者のみなさんに向けて、メッセージをお願いします。
今回は、身近な世界というか、ありふれた環境の中で、でも多かれ少なかれ起きていることを描いているので、女性はもちろん、ともに生きる男性のみなさんにも見ていただきたいですし、いま親である人だけじゃなく、まだそうじゃない人でも、いろんなことを感じることができる群像劇だと思いますので、是非、見ていただければと思います。応援、よろしくお願いします。

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