ラッキーセブン
SPECIAL

佐藤信介監督
スペシャルインタビュー<前編>

監督はこれまで映画を中心に演出を手掛けられていますが、『ラッキーセブン』の演出、シリーズ構成を担当することになった経緯を教えていただけますか。
最初に重岡プロデューサーから、月曜9時枠でアクションを交えたオリジナルの企画をやりたいというお話をいただきまして。それまでも、関口プロデューサーとは、BSのドラマや映画の企画について話していましたし、僕個人としてもオリジナルで何かできないかと思っていた時期でしたので、お引き受けしました。連ドラの演出は経験がないので多少の不安はありましたが、それ以上に期待感があったんです。ただ、月曜9時というのがあとから引っ掛かりました。「月曜9時って月9だよな? 月9でアクションはありなの…!?」って(笑)。

テーマやキャストについては決まっていたのですか。
一部のキャスト以外は、まだ固まっていなかったと思いますし、それ以前に、どういう話をやるのかをまだゼロから考える状態でした。オリジナル企画の初期段階には、映像で見たい物をゼロから考える面白さがあります。探偵ものというワードはすでにありましたが、決定ではなかった。プロデューサー陣と話すなかで、最近(当時)探偵もののドラマを見ていないし、アクションがある、しかもリアルな探偵ものは見たいという話になりました。そこから、内容とともにメンバー構成を固めつつ、キャストとそのキャラクター設定を決めて行くという感じで進んでいきました。

主演の松本潤さんが演じる駿太郎のキャラクターの発想はどこから来たのですか。
"探偵もの"とはいっても名探偵が出てきて事件を解決するのではなく、一市民だった男が探偵と接点を持つうちに、自分もそこに巻き込まれていくという、僕らに近いところから見た探偵を描けないかなと思ったんです。実際にたくさんの探偵の方々を取材しました。そこで思ったのは、探偵は意外と個性豊かな人が多いんだってこと。いわゆるサラリーマン風の人は少なくて、ちょっとアウトローな感じのする方が多いんですよ。駿太郎は、仕事に情熱を傾けるわけでもなく、人妻と不倫をするようなチャラっとした男なんだけど、あるところのスイッチが入ると、それが仕事だろうが遊びだろうが熱くなってしまう。そんなアウトローだけど人間らしい探偵がいたらいいなって思いました。

1話では、そんな駿太郎と瑛太さん演じる新田のハードなアクションが披露され、その俊敏な動きに驚かされました。
そこは僕らスタッフも驚かされました。もともとの身体能力の高さに加えて、やはり普段から体を動かされているんでしょうね。アクションシーンは、あらかじめアクション監督の下村勇二さんと作ったビデオコンテを基にして挑んでいくんですけど、最初にそれを見た松本さんが「本当にこんなことできるんですか?」と驚かれていて。でも、それを結果的にものにしてしまうんだから、松本さんも瑛太さんも、すごいと思いました。

今回のアクションは、かなり難易度が高いものなのでしょうか。
上半身裸で戦うということ自体、ごまかしがきかないし、難易度も高かったと思います。でも、短い準備期間の中、映画に劣らないレベルのものができたと自負しています。アクションシーンはなくても探偵もののドラマは作れますが、今回はそれが一つの特徴でもある。今後もそこはこだわっていきたいところです。

連ドラは、映画と比べてスケジュールがかなりタイトだと思いますが、そのあたりは実感されていますか。
当然、連ドラは用意しなければいけないシナリオの数が多いですし、作品も1本撮って終わりではないんですよね。通常、映画は、撮影と編集が終わったあとに数ヵ月の宣伝期間があって公開となりますけど、連ドラはいわば"作りながら放送する"というサイクルですから(笑)。でも、そういうスケジュールになればなるほど、その人が持っている能力が試されるもの。その点、今回は、天才的にカンの鋭い役者さんばかりで。会話劇の部分も、特に多人数の会話飛び交うコミカルなシーンなど、非常にカンが求められます。もちろんアクションシーンは練習や準備もあってどうしても時間がかかるので、よりカンが求められる。そんなときでも、みなさんがものすごく柔軟な対応力で取り組んでくださるのには、正直、驚かされました。

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