黒部の太陽
- インタビュー -

Q.演じる上で監督とはどんな話しをされましたか。

監督は演出をする際、常に「いつも背景を考えろ」と言われていました。
背景を考えてみると、黒部ダムのトンネルを貫通させたいという思いは、彼らが体験した戦争、しかも敗戦したという実体験からくるところがあるように思えてきました。つまり自分たちにとっては黒部ダムは戦争であって、自分たちが降参すれば他の工区で戦っている全員が撤退、すなわちこの戦いに敗戦し、この国の電気は消えてしまうわけです。だからこそ、どんなに恐ろしくても逃げるわけにはいかないし、命をかけてトンネルを突破しなければならない、それはもはや損得でもなく、銭勘定でもないことなんだ。そんなイメージを抱くようになりました。
現代を生きている僕は戦争も知らず、そんなに辛い目にあったわけでもない。
ただ、トンネルセットの中での収録でさえも、自分の中にあれだけ狂気すら宿るような感じになったのだから、実際の現場はとんでもないことだったろう、ということをできるだけ意識し、なるべく現実に近づけていけるよう努力したつもりです。

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