最後の絆
あらすじ
今から70年前、1941年(昭和16年)真珠湾攻撃を機に、日本とアメリカは戦争を始めた。
そして、1944年(昭和19年)の沖縄大空襲以降、沖縄は激戦の地へと変貌し、沖縄全土の中学生男子が戦場へと駆り出される非常事態となった。県立第三中学校に通う少年・東江康治(佐藤健)もまた、学友とともに極秘部隊「鉄血勤皇隊」の少年兵になった。
そんな時、康治のもとに恐ろしい知らせが届く。
数年前、家族のためにアメリカに出稼ぎに出た兄・盛勇(要潤)が、あろうことか敵国アメリカ兵になったというのだ。それは、開戦の二か月前に書かれた手紙だった。
なぜ… どうして… 日本人である兄・盛勇が、アメリカ兵になったのか?
父・盛長(大杉漣)は、「このことは秘密にするように」と康治に堅く言いつける。
開戦後の日本では、アメリカはアジアを侵略する憎き存在。アメリカに親類がいるというだけでも、スパイ扱いされ、隔離されるという状況だったのだ。
康治の心中は複雑だった。
なぜなら、盛勇がアメリカに渡ったのは、康治を中学に行かせるため、家族に仕送りをするためだった。学業優秀で最難関の海軍兵学校への進学を目指していた兄は、それを諦め、家族のためにアメリカに渡った。そんな兄・盛勇のことを康治は、子供のころから尊敬していたのだ。
兄・盛勇がアメリカに渡ってからも、家族の心はいつも一緒だった。母・カマド(手塚理美)は、その頃いつも康治に言い聞かせていた。「命こそ宝。生きてさえいれば、家族はまた必ず会える」と。
しかし…その兄が、憎きアメリカの兵隊になったという。
しかも、自分自身は、これから日本兵になる…。アメリカとは、敵同士になるのだ。
「アメリカ兵の兄さんは兄さんじゃない…」
康治は、兄・盛勇の存在を忘れる決意をし、鉄血勤皇隊として、幼なじみで友人の清(長田成哉)や勝(中村倫也)とともに、戦場に向かった。
康治たちの真の任務は、沖縄の防衛ではなく、アメリカ軍の九州・本州上陸を少しでも引き延ばすこと。
つまり、沖縄は、日本軍の作戦により、「捨石」にされていたのだ。
しかし、少年たちは、あまりに純粋だった。命をかける事に疑いなど持たなかった。
いや、その頃の教育は、「大日本帝国のために」と、彼らを死に追いやっていたのだ。
勝は、母・栄子(中田喜子)に伝えることなく、鉄血勤皇隊に入隊したという。母に心配をかけたくない、そう思っていたのだ。しかし、程なく勝は、攻撃され、死んでしまう。「かあちゃん」という言葉を残して…。
勝の死が受け入れられない康治。だが、それが戦争の現実だった。
アメリカ兵に次々と殺されていく康治の友人たち…。
康治はアメリカへの憎悪を募らせ、禁じられていたにも関わらず、アメリカ兵を銃撃する。
そして自らも致命的な銃創を負ってしまう。
絶望の末、康治は、自らに銃口を向け、自殺しようとしていた…
一方、兄は、アメリカ兵として、なんと沖縄に派兵されていた…。
「アメリカに寝返った」と裏切り者の烙印を押された盛勇。
しかし、兄・盛勇の本当の目的は別のところにあった…。
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