山田太一ドラマスペシャル
『星ひとつの夜』
- インタビュー -

Q 今回の役柄について

野々山廣治の持つ孤独感や、ずっと誰にも認められなかった時間を過ごしていたことが、人として認めてくれた若者に対して一気に心が開いていく感覚など、自分と共感する部分が沢山ありました。山田先生って怖いなと思ったのは、その人が芯の中に抱えている苦しみや喜びなどの秘めた感情を、役の中に炙り出されている、ということでした。一度しかお目にかかっていませんが、おそらくこの人はきっとこういうふうに感じたり、思うのではないかという部分が、見事に脚本の中に投影されているような気がします。ですから、自然にすぅっと役の中に入り込めて、そんな脚本作りのうまさに驚いています。山田先生が『配役が決まらないと脚本を書けません』とおっしゃっていたのは、なるほど、そういうことかもしれないねと玉木宏さんとも話をしました。
当初、野々山廣治がなぜ清掃員の仕事を選んだのか理解できませんでしたが、実際に撮影した時、田島監督が『野々山が清掃員である理由がよくわかった。上背もあり、体格のいい人が目立たないよう背を丸めて電気ブラシを使っている姿はすごく切ない』とおっしゃったんですよ。僕もモニターを見てみると、筋肉がたくましく動くのが見えて。そのような体格の男なら、工事現場などもっと給料のいい仕事が他にいっぱいあるはずなのに、人と関わらず、しゃべらずにすむから清掃員の仕事を山田先生が選んだんだなと合点がいきました。

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