山田太一ドラマスペシャル
『星ひとつの夜』
- インタビュー -

Q 脚本を読んだ感想をお聞かせください。

山田先生は『今、外に背を向け、頑なに沈黙を持ってしまっている男、そして役に立つか立たないかわからないが、面白い蘊蓄を語ってしまう男を書きたい』とおっしゃっていました。しかし、それがどんな男なのかは全くわかりませんでしたから、脚本ができ上がってくるのがとても楽しみで、初めて読んだ時、合点がいきました。最後まで読んだ感想は、'終わり。チャンチャン'ではないということ。つまり、ドラマというのは、ある時間をすぱっと切って描くものですが、人にはその(ドラマの)前にも後にも人生があり、これで終わりでは決してないわけです。このドラマは『全てが解決し、前向きに生きていくわけではない。けれど、それでも明日はくるんだ』という、ある種の過酷さや残酷さがあり、そういう意味においてはテレビドラマというカテゴリーでしかできないものではないかという気がします。早々に脚本を送って頂き、こんなに早く脚本が仕上がっているのは異例なことだとまず驚き、そして完璧に構築された内容にまた驚きました。このドラマには『お金って何だろう?お金が人を幸福にしてくれるのか?』が、すごく大きなテーマとしてあり、お金というツールが人間にどういう作用を及ぼすのかということを、改めて考えさせられたように思います。
映画『明日の記憶』や『硫黄島からの手紙』など、しばらく深い話が続いていて、次の作品に何をやるべきか霧の中にいるような状態の時だったのですが、その霧をひとつの星が僕にうっすらと光を与えてくれたような気がしたので、これは今やるべきだな、と思い、お話を受けさせて頂きました。自分にとっても、社会にとっても大事な作品になるのではないかという気がしています。

もどる
0.星ひとつの夜 TOP

(C)フジテレビジョン