ほんとにあった怖い話
-ほん怖ファイル-

「二階が怖い」

喘息を患っていた亜矢子(碇)は、親の離婚や学校でのいじめをきっかけに、心因性の発作を起こすようになっていた。そんな亜矢子が、医師の勧めで田舎に住む祖母の家で暮らすことになったのは、彼女が中学生の時だった。
祖母の芳江(喜多)は、亜矢子を温かく迎えた。が、亜矢子は何もしゃべろうとはしなかった。そんなある日、芳江から探し物をしてほしいと頼まれた亜矢子は、物置代わりに使っているという2階の部屋で何者かの視線を感じる。その部屋には、布に覆われた鏡があった。そこにやってきた芳江は、鏡の前にいる亜矢子に気づき、鏡を覆っていた布を取った。ごく普通の鏡だった。亜矢子がその鏡に背を向けて部屋を出ようとすると、突然の発作が亜矢子を襲った。そのとき亜矢子は、鏡の中に白い着物を着た女性が写っていることに気づく。
その夜、トイレに立った亜矢子は、電話で話している芳江の声に気づいた。相手は、亜矢子の母親のようだった。「あの子があんな風にならなければ、あんたたちだって別れるなんて事にならなかったんじゃないのかい?」。芳江の言葉に、亜矢子は、いままで気づかないフリをしてきた現実と向き合わざるを得なくなっていた。両親に必要以上の負担をかけたのも、喘息を理由に自分の殻に閉じこもっていた私のせいなのだ、と…。その時、亜矢子は再び激しい発作に襲われた。直感的に、あの女性に会わなければ、と思った亜矢子は、2階の鏡の前に立った。すると、あの女性が再び鏡の中に現れた。ゆっくりと顔を上げる白い着物の女性。その顔は、自分とまったく同じだった。亜矢子は、とっさに近くにあるものをつかみ、鏡を叩き割った。その音に驚いて、芳江も2階に駆け上がってきた。亜矢子は、芳江にしがみつき、声を上げて泣いた。
数日後、亜矢子は芳江の家を後にした。それ以来、亜矢子の発作は回復の兆しをみせ、少しずつ友達もできるようになっていた。

脚本/清水達也
演出/大木綾子

草野亜矢子…碇由貴子
草野芳江…喜多道枝

牧山郁恵…市川千恵子
牧山義弘…小鹿番

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