ほんとにあった怖い話
-ほん怖ファイル-

「迷子」

残業で帰りが遅くなった健介(佐々木)は、近所の家の庭先で泣きじゃくっている男の子(今井)の姿を見つけた。健介がためらいながらもその男の子に声をかけながら近づくと、背中を向けて泣いていた男の子がピタリと泣きやみ、こちらを振り返ろうとした。異変を感じた健介は、その場から逃げ出し、家に戻った。が、霊感の強い健介の妻・頼子(三咲)は、その男の子がついてきていることに気づく。健介が風呂に入っていると、磨りガラスの向こうから、何かが近づいてくる。頼子にしてはあまりにも小さいその姿。やがてそれは、扉に張りついた。それは、表情のない男の子の顔だった。
健介は、帰り際に遭遇した出来事を頼子に話した。その家で、今日、一家心中があったことを健介に告げる頼子。そして、いまも男の子の気配を感じている、と続けた。
あくる朝、健介はいつものように仕事に出かけた。頼子は、心霊現象に詳しい知り合いに電話で相談を持ちかけるが、どうすることも出来ない、と言われ落胆する。その日一日、頼子は男の子の気配に苦しめられた。
頼子は、帰宅した健介に不満をぶちまけた。いま自分たちが直面しているのは、生きるか死ぬかの重大な問題なのだ、と…。その時、ふたりは不意に気配を感じた。すると、誰かが階段を上ってくる足音が聞こえ、その足音は寝室の前で止まった。
次の朝、頼子はテーブルチェアに座っている男の子を目撃する。健介は、激しく動揺する頼子を放っておけず、会社を休む。ふたりは、寝室の片隅で肩を寄せ合って過ごす…。
やがて夜が明けた。頼子の目には涙が浮かんでいた。「感じない? あの子、もういないのよ」と言いながらも、涙が止まらない頼子。それからしばらくして、健介は、心中事件のことで意外な話を耳にした。両親が亡くなった後も、あの男の子は生死の境をさまよっており、健介たちの家から気配が消えたちょうどその頃、息を引き取ったというのだ。健介は、あの朝、悲しそうに涙ぐんでいた頼子の顔がいまでも忘れられない、という…。

脚本/玉城悟

川越健介…佐々木蔵之介
川越頼子…三咲レア
男の子…今井悠貴

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