Story 第十一話
インタビュー
根岸峰和役 小澤征悦
最初に台本を読まれた時の印象はいかがでしたか?
「まず、今回は東野圭吾さん原作であること、演出が河毛俊作さん、そして鈴木京香さんと共演できること…この3つが魅力的だったので、出演させて頂こうと思いました。その上で台本を読みました。もちろんストーリーも面白かったです。でも、さらに興味を持ったのが自分が演じる峰和が1時間という放送時間の中で堕ちていく役だということ。自分が作り上げてきた幸せの構図が壊れていってしまう様子が放送時間内に凝縮されているのが、芝居をする僕としては面白く思いました。それは同時に"難しい役"ということにもなるのですが、河毛さんが撮って下さるので安心して臨むことが出来ました。」
峰和はどのようなキャラクターですか?
「人の心の隙間に、すっと入っていける男だと思います。例えば、峰岸の妻、千鶴(西田尚美)は社長令嬢です。そんな千鶴と結婚できたのも峰和の出世欲からなのですが、野心は全面的に出さずに狡猾な手を使ったのでしょう。箱入り娘が憧れてしまうような男を演出する…つまりは心の隙間に入り込んだわけですね。そんなことが、計算も多少はあるけど、ほぼ自然に出来てしまえる男なのでしょう。」
その峰和の前に、中尾章代(鈴木京香)が現れます。
「峰和は章代に対して不気味さとともに"なんだろう?"という感情を抱きます。しかし、峰和は今までのように、章代に足りない部分を探して心に入り込もうとするんです。それは、自分について何か知っているんじゃないかと聞き出すためなんですけど…。」
章代を演じる鈴木京香さんの印象は?
「京香さんとは映画『釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!』で、ご一緒させてもらったんですが、芝居の絡みはあまりありませんでした。今回のように、ガッツリと芝居をするのは初めてなので、胸を借りるつもりで演じました。もう、随所に章代の妖艶さや不気味さが散りばめられていて…本当にすごい芝居をなさるな…と思いました。」
河毛監督は、いかがでしたか?
「監督は、映像に関する知識の豊富さが半端ではないんですよ。古今東西の映画をご覧になって、それを自分の中で整理されていて、しかも小説もたくさん読まれています。その上、ファッションや音楽の造詣が深く、とてもお洒落な方ですね。その洒落たセンスが映像にいかされているのではないでしょうか。そして恰好良いのが、決してご自身のお洒落をひけらかすことがないんです。人生の先輩として、憧れる方ですね。」
東野圭吾さんの作品の魅力は、どこに感じますか?
「僕はまず"あれだけ多くの作品を、いつ書いているんだろう?"と思ってしまいます。しかも長編作品をどんどん発表しています。僕も全部は読み切れていませんけど『秘密』、『マスカレードホテル』、『白夜行』、『鳥人計画』など、結構読んでいます。僕が言うのもおこがましいですが、東野さんは伏線の張り方、細かい文章の構築がとても上手。ストーリーの迷路の作り方がすごいと思います。それが僕たち読者の心をつかんで離さない面白さなのでしょう。」
最後に視聴者のみなさまにメッセージをお願いします。
「僕は小説で『再生魔術の女』を読んだことがありません。台本が初見だったんですけど、最後で明かされる謎には"そういうことだったのか…"と、ドキッとさせられました。原作はかなり以前に書かれたものですが、描かれているミステリーの視点はとても新鮮に感じました。みなさまにも、出来事の謎を解明する面白さと同時に、登場人物たちの心の揺れを楽しんで頂ければ…と、思います。」
△戻る
□東野圭吾ミステリーズ TOP
(C)フジテレビジョン