Story 第十一話
Director's Check
第11話『再生魔術の女』
河毛俊作監督
「この作品は主人公、中尾章代という女性の存在そのものがサスペンスとして描かれています。その章代を鈴木京香さんが恐ろしく…かつ、とても優雅に演じているところが見どころですね。章代の相手役となる峰和役の小澤征悦さんも頑張ってくれたので、2人の芝居の応酬が男女間の根源的なサスペンスとして展開していきます。特に、僕たち男からみるとこのドラマの主人公だけでなく、本当に"女性"はミステリアスな存在じゃないですか(笑)。彼女たちの意思や意図を理解するのは、容易ではありませんよね? ですので、作り手としてこだわったのは映像も音楽も、やはり"いかに章代をミステリアスに見せるか?"です。音楽にはチェット・ベイカーの『マイ・ファニー・バレンタイン』というジャズの名曲を象徴的に使いました。Cベイカーの中性的な色気ある歌声が合うと思ったのと"いつまでも変わらない君でいて"という、考えると少し怖いような歌詞に魅力を感じたからです。
その後もミュージックシーンで繰り返し使われる"男の願望"、裏を返せば思い通りにはならない女性への羨望ですね。楽曲の意味も、何となく考えながらご覧頂けたら嬉しいです。
さて、これが『東野圭吾ミステリーズ』シリーズ最後の作品となります。いろいろな演出家が代わる代わる作品を担当する試みでしたが、みなさん、いかがでしたでしょうか?僕は"人によって演出はずいぶん変わるんだな"と感じました。もちろん予想はしていたのですが、それぞれに"人とは違う作品にする"という演出家のこだわりを見つけられたので面白かったです。さらに"自分ならこうする"とか"こういうやり方もありか"と勉強にもなりました。連続ドラマというカテゴリーの中では、あまり見かけない興味深いシリーズだったと思います。また同じような機会があれば、是非参加したいですね。」
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