Story 第八話
Director's Check

第8話『小さな故意の物語』
並木道子監督


「『小さな故意の物語』は、本当に切ない高校生の片想いの話です。ですので、若い人には共感して頂けると思いますし、大人の方が見ても"こういう時代もあったな"と懐かしむことが出来る空気感を大事にしました。ミステリー…謎解き作品ではあるんですが、大人になりきることが出来ない不安定な年頃の人たちの気持ちを描きたいと思ったんです。その時に、偶然にも起きてしまった悲劇の真相は?…と、なっていきます。東野さんの原作は80年代に書かれた作品なので、ドラマ化にあたっては現代風にアレンジさせて頂きました。でも、東野さんが描かれる普遍的なテーマ…人間の揺れ動く気持ちや、関係性などは同じですので、ドラマでも丁寧に汲み上げています。三浦さんや波瑠さん、大野さんとは初めてご一緒させて頂いたんですが、みなさん真摯に役と向き合って下さいました。

特に、三浦さんの芝居に対するモチベーションが高かったので、逆に私が刺激を受けました。ものすごく役について考えている繊細な方ですね。ただ、みなさん20歳以上なので、リハーサルの初めは高校生に見えなかったんです。そうしたら、みなさんで高校生の気持ちを作るんだって全員でジャンプして、テンションを上げて収録までには若返っていました(笑)。それだけ、真剣に取り組んで下さったんです。本当に、どんどん高校生になっていきました。全般に地方ロケで天気に恵まれたことで、ストーリーは悲劇なんですけど、まぶしい太陽の下にキラキラした青春まっただ中登場人物たちが息づいています。映像が明るくなることで、対比的に切なさや悲しさが増すような感じです。ですから、細かくカットを割らず、広い画を撮るだけで"彼らが存在する"という空気感を現せたのではないかと思います。」

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