Story 第二話
Director's Check

第2話『犯人のいない殺人の夜』
澤田鎌作監督


「坂口(憲二)さんとは『プライド』以来となります。『プライド』の時は、明るいスポーツマン役だったのですが、今回演じるのは少し陰のある佐藤拓也という男。ですので、どんなキャラクターを作られるのかを楽しみにしていました。その期待に応えて下さるかのように撮影前の短いリハーサルで、坂口さんはいろいろなパターンを見せて下さったんです。ですので、この段階で"もっとこうしてみよう""ここはこっちで"と細かく相談出来ました。そうして出来上がった拓也を、坂口さんは…どんな役でも同じだとは思いますが、真剣に演じて下さいました。衣装や私物にもこだわって…坂口さんご自身が私物を用意して下さったりもしたんですよ。坂口さんご自身も思いの詰まった役、芝居になっているのではないでしょうか。

さらに、白井(晃)さん、中原(丈雄)さんたちベテラン陣が出演して下さっていて…。こちらがひとつお願いすれば、10倍…それ以上の演技を返して下さる方々なので、僕自身が教わることも多く本当に撮影を楽しませて頂きました。
今回は撮影から編集までの時間に余裕があったので、仕上げを冷静に考えることが出来ました。特に気を使ったのは1時間という短い作品なので、緊張のピークをどこに置くか? と言うこと。ですが、もともと原作を脚本化する時に涙をのんで削ってしまった場面も多く、映像には残したかったものが凝縮しています。ですから、緩急はつけつつも濃密な作品に仕上がったのではないかと思います。
いわゆる2時間もののサスペンスドラマや映画とは全くニュアンスの違った作品になりました。ぜひ1時間、息を止めて見て欲しいです(笑)。そうすると前半に仕掛けられていた芝居や状況が"なるほど"と、それぞれの登場人物目線で解るので、より作品を楽しんで頂けると思います。」

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