Story 第一話
インタビュー
鈴木和真役 西岡徳馬
演じられた鈴木警部は、どのようなキャラクターだと思いますか?
「結果的に事件の真相を解明するので優秀な刑事だとは思います。ただ、それまでの過程では、掴みにくい男でした。監督は、あるシーンで"優秀なのか、ただのヌーボーとした普通の刑事なのか解らないのが面白かった"と言って下さったので嬉しかったんですが…。すごく優秀な刑事が、ストーリーの冒頭から犯人を追い詰めていくだけでは面白くないと思います。解らない…何だろう? と、言っているうちに解決しちゃったという方が良いと思って演じました。」
鈴木を演じる上で、考えられた面は?
「僕は刑事役を頂くことが多くて…あとは、悪い代議士とか(笑)。刑事って特殊な仕事ですけど、普通の人が多いと思うんです。今回の鈴木も普通の人間なのですが、決して暴力的ではありませんけど、ねっとりと執念深さを持っている。刑事の直観というのではなくて、物事を多角的に見ている人物に出来たら良いと思いました。」
河毛俊作監督とは?
「初めてです。河毛監督の作品は、たくさん拝見していて、一度ご一緒したいと随分以前から思っていました。今回、それがようやく実現したんです。予想通り、素晴らしい演出をなさいますね。とにかく映像が凝っていて…。すごく多くの演劇や映画をご覧になっているからこそなんだろうなと思いました。今回は60年代、70年代のフランス映画のように撮りたいとおっしゃっていたので、僕もそのつもりで臨みました。具体的な動きは現場で監督と相談しながら作ったんですけど…。1カット1カット、本当に凝った撮影でした。」
石上純一役の唐沢寿明さんとは…。
「かつて25年くらい前から舞台で共演したことがあるんですけど、映像では初めてですね。芝居をするということに関しては、失礼かもしれませんけど、とてもやりやすいです。映像でどうなるのかは、現場に来て監督も含めて一緒に考えていきました。でも、僕はどういう風に撮影するか収録まで解らない方が楽しいんですよ。あまり予想して現場に行くと、新鮮味がなくなってしまうんです。とは言え、ある程度想像して家でやってみるんですけど、その想像が現場で良い意味で裏切られるのが楽しいですね。」
『さよならコーチ』のストーリーについては、どう思われましたか?
「この話のトリックは難しいですよね。これを考え付いた東野(圭吾)さんはすごいと思います。ミステリーの作家さんならば、トリックが肝になるとは思いますが、東野さんはさらに人間ドラマを興味深く展開していますから。両方をとても上手く描かれています。だからこそ、東野さんの本の愛読者がたくさんいるのではないでしょうか。僕は『白夜行』を最初に読んだんですけど、長い年月に及ぶ出来事を淡々と…しかし、決して飽きさせることなく描かれていました。それは、見事な人間ドラマが完成されていたからだと思います。短編ではありますが『さよならコーチ』にも東野作品の面白さが詰まっていますので、楽しんでご覧頂ければ嬉しいです。」
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