Story 第一話
Director's Check

第1話『さよならコーチ』
河毛俊作監督


「短編小説には短編小説の味わいがあります。でも、1時間のドラマにする時には映像として膨らませなければいけない部分も出てきます。それでも原作の良さは損なわないようにしなくてはなりません。1番気を使うのはそこですね。
そして、単なる謎解きではなく人間ドラマになるように…とも、考えました。

『さよならコーチ』は登場人物が少ないドラマなので、人間関係の世界観は凝縮されたものになります。しかも、登場人物は根っからの悪人とか犯罪者ではなく、普通の人間。にも関わらず、ちょっとしたボタンの掛け違いや感情のもつれで迷宮に陥ってしまう。

そんな、人間が壊れていく様子…心の歯車が狂って、最終的に殺人に及んでしまうまでの感情の道程をどう見せるか?と、いうことを大事にしました。

もしかしたら"あなたも殺人者になってしまう"、"あなたも殺されてしまう"かもしれない…という感覚を冷んやりと楽しめる大人のミステリーです。とは言え、ミステリーは雰囲気がとても大切。イメージとしては70年代くらいのフランス映画、『太陽がいっぱい』や『死刑台のエレベーター』のようにしました。

そんな映像作りの中で、コーチ(唐沢寿明)と直美(田中麗奈)の関係がゆがんで行く過程を、じっくりとご覧頂ければ…と、思います。」

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