風のガーデン
宮本監督の編集後記
Vol.10
10話では、いろいろな事情から岳がガーデンを去ることになります。当然、貞美と会うのも最後。このシーンでは、私なりに思うことがあり、台本のト書き部分(*セリフとセリフの間に、登場人物の行動や感情が書かれている部分)に少し動きを付け加えました。"ガブリエルが去ることを知り、パニックになった岳を貞美が抱きしめて落ち着かせる"という動きです。
これを加えたいと思ったのは、私自身の"親"としての感覚でした。久しぶりに再会できた子供と再び別れなくてはいけない状況になった時、親ならば子供を抱きしめたい、ちゃんと触れ合いたいと思うのでは…と。私が女であり母親だからそう思うだけなのかもしれない不安もあり、(動きを入れるかは)かなり迷いました。でもやっぱり、貞美と岳が直接触れ合って欲しいと思った。そこで、倉本先生の台本を尊重したうえで、貞美が岳を抱きしめても不自然ではない状況に膨らませることができないかを考えたんです。中井さんにも相談したら「この流れなら、そういうシーンがあってもいいかもしれないね」と言ってくださって、リハーサルが行われました。
別日に行われた本番の撮影では、倉本先生が現場にいらっしゃって。ドキドキしながらそのことを提案してみると、倉本先生は反対することもなく「それならば、岳のピアノの音を強く入れた方がいいね」とだけ言われて、すごくホッとしたのを覚えています(笑)。
貞美が岳を抱きしめたところで決して親子の問題が解決するわけではないけれど、それでも2人の間に何か通じ合うものを感じたり、少しでも良かったと思ってもらえたら幸いです。
物語はいよいよ佳境に突入です。私もモニターを見ながら泣いた、本当に切ないシーンが多くなってきました。これまでクスクスと笑っていたあのシーンがあったからこそ泣けるという、倉本作品の真骨頂が見られる展開をお楽しみください。
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