風のｶﾞｰﾃﾞﾝ
宮本監督の編集後記
Vol.1
1話の大きなみどころとなるのは医療ｼｰﾝ｡ｸﾗﾝｸｲﾝ前から中井(貴一)さんと｢なるべく嘘をつかない､本当のことをやりたい｣と話していて､医療ｼｰﾝをﾘｱﾙにやるために､ある病院にご協力いただき1週間ほど朝から晩まで医師に張り付いたりしてかなり勉強しました｡例えばﾃﾚﾋﾞの中の医師は常に眉間にｼﾜ寄せて難しい顔をしているｲﾒｰｼﾞがあるけれど､実際はそんなことはないんです｡決して気を抜いてるわけではなく､医師にとって病気や死と向かい合うことは日常であり､落ち着いて的確な指示を出すのが本来の姿なんだと改めて気付かされたりもしました｡中井さんもとても熱心に勉強されていて､手術中の手の動きも本物さながらだし､医学用語もｾﾘﾌとしてではなくすべて理解したうえで話しているから嘘がない｡そういった医師の日常の様子も含めた医療ｼｰﾝのﾘｱﾙさを感じていただければうれしいです｡
緒形(拳)さんのちょっとすっとぼけた演技もみどころです｡孫に対して敬語で話しているけど､そこにはすごく温かさが感じられるのは緒形さんのあの雰囲気ならでは｡そして､丁寧な言葉でﾙｲに｢男を知ってますか?｣なんて聞いてみたり､変な花言葉を考えては嬉しそうに岳に伝えたりする｡かわいらしい緒形さんはとても新鮮ですね｡
そして､この作品で女優ﾃﾞﾋﾞｭｰとなる平原綾香さんも堂々とした見事な演技を披露してくれています｡私もどういう演技をされるかわからなかったんですが､最初に中井さんとﾊﾞｰのｶｳﾝﾀｰに座ってもらい｢自由に話して｣と言ってみたら､とても初めてとは思えないほど自然だったんです｡当たり前ですが､歌もすごく上手くてとても素敵なｼｰﾝになっています｡
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