ガリレオ
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・おふたりにとって、東野作品の魅力とは?

柴咲:世間の矛盾とか陰の部分、闇の部分みたいなものにスポットを当てるのが凄く上手だと思うんです。だけど、それをただ非難するだけではなくて、凄く深いところで考えさせてくれるものだし、ちょっと自分が根暗な部分があるので、凄くそれに共感できるんだけれども…例えば『白夜行』なんて、ズドンと暗いんだけども、最後の最後まで暗いのに、絶望とか失望するっていう感じではないんですよね。ふつふつと何か力がわき上がる、っていうまではいかないけど、何か自分の力に気づけることが多くて…。本当に不思議な魅力を持ってるなって思います。今回の『ガリレオ』に関しても、いうなれば読み切りっぽくどんどん犯人が変わっていって、1話完結になると思うんですけど、それでも容疑者の人たちが、凄く恨みを抱いて人殺しをしてたとしても、「犯人がかわいそう」だけでは済ませない。その衝動に駆られた犯人に何か難しい部分だったり、よくないことがあったんじゃないか、って思わせる、ちょっと歯切れの悪さっていうか、キチッと終わって爽快、ということじゃない部分が私は凄く好きです。
福山:僕は、今日ある取材で東野さんにお会いして対談をさせていただいたんですけど、お話をうかがっていると、東野さんはいろんなことに「何でなんでだろう?」って好奇心を持っていて…。それは凄く科学的なことで、ご本人もエンジニアの仕事をされていて、物理学を学んでいた方らしいんですね。さまざまなことを、物理学的な側面でも仮説を立てて検証をするのがお好きなんだそうです。ある部分、"探偵ガリレオ"と呼ばれている湯川学という人格を形成している、その核になっているのが東野圭吾さんなんだな、っていうことを今日お会いして確認できたというか…。ご本人も「湯川は憧れた生き方のひとつである」とおっしゃっていましたし。だから、今日思ったのは、湯川っていうのは実は非常に人間臭い人なんだな、っていうことですね。小説で描かれている湯川って、人間臭さっていうのが少し抑え気味に描かれていると思うんですけど、でも、ともすれば凄く正義感が強かったりとか、少年のような「あれは何でだろう?」「これは何でだろう?」っていう知的好奇心も旺盛で…というのが根底には流れているんだな、と。僕は、原作者の方にお会いして作品の話を聞く、っていうのは、手品のタネを裏から見るような感じがして、果たしてそれがいいのかどうか、ってちょっと思っていたんですけど、でも実際にお会いしてお話を聞いたら、逆に湯川学っていう人間の、キャラクターの奥行きを感じることができたような気がします。

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