不毛地帯
スペシャルインタビュー
澤田鎌作監督
- PART2 -
Q.時代設定にとらわれすぎないということですか?
この作品が昭和を舞台にしているからといって、史実を追求していくつもりはない。なによりも作り手である僕らが戦争を知らないし、ドラマの舞台となっている昭和30年代、40年代に何をしていたかというとせいぜい、幼稚園や小学校に通っていたような世代が中心で、もちろん生まれていない世代もたくさんいるわけです。だから、ドキュメンタリーを目指してもしょうがないと思うんですよ。ドキュメンタリーなら当時のフィルムを掘り起こしてきてそれをつなげるほうがいいものができるだろうし、再現ドラマを撮るつもりもない。
ただ、あの時代に、善悪を乗り越えて仕事を必死でやっていた多くの人たち…その裏には家族の葛藤もあっただろうし、家族を気遣いながらも家に帰れずに仕事をしていた人たちに対して、ものすごく働いてるな、という印象を持つんですが、ふと考えてみれば俺たちも一緒なんじゃないか、というようなところがあるんですよね。原作や脚本となったものを読んで僕らスタッフが感じたハードさって、ただただ忙しいということだけじゃなくて、もっと精神的な、家庭も気になるけど今はこの仕事に邁進しなければならないというような葛藤なんじゃないかと。
そういうことって僕たちも理解できるし、おそらく見てくださる方にも理解していただけるんじゃないかと思うんです。時代は違えど人がやっていることというのはどの時代もさほど変わらなくて、悩んでいることも葛藤していることも、苦しんでいることも楽しんでいることも一緒なんだなという風に見えたらいいなと思っています。そういうことが伝わることが、敢えて今、昭和30年〜40年代を舞台にしているドラマを作る価値だと思います。
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