不毛地帯
原作紹介

「不毛地帯」の主人公・壹岐正は特異な運命を背負っている。大本営参謀として真珠湾攻撃にかかわり、敗戦後はソ連軍捕虜としてシベリア抑留十一年。以後、歴史の証人として生きようと決意するが、帰還後、商社マンに転身した壹岐を待ち受けていたのは、苛烈な国際商戦だった。精神的飢餓状態の中で、どう生きていくか、そのラストを私はある願いを込めて書いた。この程、フジテレビの連続ドラマで唐沢寿明さんが壹岐役を演じる。前作「白い巨塔」の財前五郎を見事に演じた彼が、今度はどう壹岐を見せるか、楽しみである。

――山崎豊子

◆不毛地帯〔一〕
拷問、飢餓、強制労働――地獄のシベリアから生還した男。商社マンの孤独な戦いを通じて戦後史を活写する記念碑的長編。

◆不毛地帯〔二〕
政界、防衛庁を巻き込んだ苛烈なる「黒い商戦」。国益と政争の間で揺れ動く次期戦闘機選定の行方は――。

◆不毛地帯〔三〕
虎視眈々と日本を窺う米巨大自動車企業。提携相手はどちらの社か――容赦なき国際経済戦争の現実。

◆不毛地帯〔四〕
専務への昇進、油田開発。宿敵との果てしなき戦い。腹心の部下は中東へ。米企業との交渉も大詰めを迎えるが――。

◆不毛地帯〔五〕
これが商社マンとしての最後の仕事だ――。乾坤一擲のイラン油田への賭け。シベリアに始まる長い戦いも終幕へ。

◆山崎豊子さんプロフィール
1924(大正13)年、大阪市生れ。京都女子大国文科卒。毎日新聞社学芸部に勤務。
当時、学芸部副部長であった井上靖氏のもとで記者としての訓練を受ける。勤務のかたわら小説を書きはじめ、1957(昭和32)年『暖簾』を刊行。翌年、『花のれん』により直木賞を受賞。新聞社を退社して作家生活に入る。1963年より連載をはじめた『白い巨塔』は鋭い社会性で話題を呼んだ。『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』の戦争3部作の後、大作『沈まぬ太陽』を発表。1991(平成3)年、菊池寛賞受賞。2009年『運命の人』刊行、10月より『山崎豊子 自作を語る』全3巻刊行開始。

もどる
0.不毛地帯 TOP

(C)フジテレビジョン